7月第2週の相場展望
2021-07-05
注目されていた金曜日の米国雇用統計は、非農業部門雇用者数が予想の70万人に対して結果は85万人と増加したが、失業率自体は予想5.7%に対して結果5.9%となり、総体的にみると予想から大きな乖離があったわけではなく、まちまちの数値であった。それまで期待からドル買いが先行していたことで、利食い中心の相場となった。10年長期金利は5月からは高値の1.7%付近から、現在は1.4台前半まで下がってる。日本の長期金利や欧州の長期金利はその間ほぼ変わらずでもドル買いとなった。どうしてか?となるところであるが、実は短期金利2年あたりの差が大きくなっており、米国短期金利2年はじりじりと上昇している。日、欧の短期金利は変わっていないことで米国2年債利回り上昇がドル買いに促しているようだ。
その他に考えられる要因は、新型コロナに対する対応として、世界の中銀が金融緩和をしていることが大きいのではないだろうか。世界で一番大きな額の国債を発行しているのは米国で、2位の日本の2倍近くに及ぶ。金融緩和で流れ出したマネーの一部は投資へと向かっており、ビットコインや金相場などの商品相場へも影響を及ぼしている。しかしこれらの投機的な市場も過熱感が台頭しているため、売ったものを別の商品に移す必要がある。そこで投機的商品はもう買えないとなると一応安全な米国の長期債券を買おうかという動きが出てくる。それで米国長短の国債が買われだし、国際価格は上昇し、逆連動する金利の高値を抑えたというふうに考えている。一度投資を始めたらキャッシュ比率を上げるには、余程のリスクオフ相場が必要であり、一つの証拠として金相場はなかなか崩れないことにも表れる。金はアジア勢の買いが1700付近に待っているという話もあるが、結局は投資商品を買うマネーが全体で増加していることに他ならない。バブルには気を付けたいのだが、金利を上げる行動となるのもまだ1年以上はあり、全体のマネーが増えると金利までも抑えることが可能であるから、しばらくの間、このコロナ発流動性相場は右往左往しながらも継続することになるだろう。
短期金利が上昇し長期金利がやや低下しているということは、悪い意味で考えると短期の資金調達がコスト高でその後の景気が下がる=スタグフレーションを意味しているとも言える。そうでなければ今後10年超の長期金利は緩やかな上昇となるはず。スタグフレーションでないとするとドル高もしばらくは継続しそうな感じだと考えている。また米国の雇用に関しても、非農業部門雇用者数が増加したとはいえ、コロナ前の作戦の2月の水準からは乖離が未だ大きく、比較すると680万人ほど下回っており、それを回復するのには時間がかかりそうだ。FRBも簡単に緩和をやめるわけにはいかないであろう。コロナ禍への特別失業保険手当が切れるタイミングが9月末に迫っており、今後の雇用情勢に注目する必要がありそうだ。
ドル指数は今年3月末に高値の93台を付けたあと下落に転じたが、5月後半に底入れし上昇している。高値から安値の76.4%戻しを一時達成したが、金曜日にそのレベルを割り込んで下落している。全戻しである93台を目指すと思われたがここで一服となりそうだ。しかし中銀のスタンスには欧州、英国共に変化が見られないことで、もみ合い後は再度ドル買いに戻ってくるのではないだろうか。ドル円は25日、75日移動平均線共に緩やかな上昇基調を保っており、それに連動するように堅調推移を続けている。今年4月からの上昇トレンドラインを下回らない限り堅調基調は続くであろう。テクニカルの指標が効きづらいところではあるが、トレンドラインはしっかり機能している。月曜日時点でラインは110.00付近を推移していて、少しずつ上昇している。週間では下値は110.00―20で高値は112.00-20付近でもみ合いの展開を予想している。
その他に考えられる要因は、新型コロナに対する対応として、世界の中銀が金融緩和をしていることが大きいのではないだろうか。世界で一番大きな額の国債を発行しているのは米国で、2位の日本の2倍近くに及ぶ。金融緩和で流れ出したマネーの一部は投資へと向かっており、ビットコインや金相場などの商品相場へも影響を及ぼしている。しかしこれらの投機的な市場も過熱感が台頭しているため、売ったものを別の商品に移す必要がある。そこで投機的商品はもう買えないとなると一応安全な米国の長期債券を買おうかという動きが出てくる。それで米国長短の国債が買われだし、国際価格は上昇し、逆連動する金利の高値を抑えたというふうに考えている。一度投資を始めたらキャッシュ比率を上げるには、余程のリスクオフ相場が必要であり、一つの証拠として金相場はなかなか崩れないことにも表れる。金はアジア勢の買いが1700付近に待っているという話もあるが、結局は投資商品を買うマネーが全体で増加していることに他ならない。バブルには気を付けたいのだが、金利を上げる行動となるのもまだ1年以上はあり、全体のマネーが増えると金利までも抑えることが可能であるから、しばらくの間、このコロナ発流動性相場は右往左往しながらも継続することになるだろう。
短期金利が上昇し長期金利がやや低下しているということは、悪い意味で考えると短期の資金調達がコスト高でその後の景気が下がる=スタグフレーションを意味しているとも言える。そうでなければ今後10年超の長期金利は緩やかな上昇となるはず。スタグフレーションでないとするとドル高もしばらくは継続しそうな感じだと考えている。また米国の雇用に関しても、非農業部門雇用者数が増加したとはいえ、コロナ前の作戦の2月の水準からは乖離が未だ大きく、比較すると680万人ほど下回っており、それを回復するのには時間がかかりそうだ。FRBも簡単に緩和をやめるわけにはいかないであろう。コロナ禍への特別失業保険手当が切れるタイミングが9月末に迫っており、今後の雇用情勢に注目する必要がありそうだ。
ドル指数は今年3月末に高値の93台を付けたあと下落に転じたが、5月後半に底入れし上昇している。高値から安値の76.4%戻しを一時達成したが、金曜日にそのレベルを割り込んで下落している。全戻しである93台を目指すと思われたがここで一服となりそうだ。しかし中銀のスタンスには欧州、英国共に変化が見られないことで、もみ合い後は再度ドル買いに戻ってくるのではないだろうか。ドル円は25日、75日移動平均線共に緩やかな上昇基調を保っており、それに連動するように堅調推移を続けている。今年4月からの上昇トレンドラインを下回らない限り堅調基調は続くであろう。テクニカルの指標が効きづらいところではあるが、トレンドラインはしっかり機能している。月曜日時点でラインは110.00付近を推移していて、少しずつ上昇している。週間では下値は110.00―20で高値は112.00-20付近でもみ合いの展開を予想している。
ドルインデックス日足チャート
ドル円日足チャート

ドル円日足チャート

今週は、改定値ながら中国と欧米の6月PMIが発表される。またドイツの鉱工業生産指数、製造業受注やZEW景況感調査。EU全体でもZEW景況感調査の発表がある。その中でも注目は米国6月のISM非製造業景況指数で、ロックダウン解除に向けた動きから企業へどう影響しているのか。米国FOMCの議事要旨が水曜日に発表され、具体的な議事録内容が明らかになり、詳細な意見等がインフレや金融政策への言及が市場を動かす可能性もある。株価インデックスに関しては、米国の企業決算シーズンに入ってきていることも鑑みる必要がある。また英国のGDP発表とベイリーBOE総裁の発言が予定されており、それらにも注目している。先週は総裁が「インフレ率に対して過剰反応をしないことが重要だ」との見解を示して、ポンドが下落しポンドドルは3月の安値まで約70ポイントまで下げたことで、見解の内容によっては下値トライの可能性も出てくるだろう。その場合、チャートからはダブルトップ完成となるので、一時的な下押し圧力が強まると考えているので気を付けたい。
ポンドドル日足チャート
