NZ経済は緩やかな回復へ
2021-06-22
■ NZ経済は内需主導で2四半期ぶりに回復、経済活動正常化でプラス成長は続く見通し
■ NZ中銀は5月の会合で来年の利上げの可能性を示唆、7月14日の次回会合に注目
17日発表の1-3月期ニュージーランド(NZ)実質GDPは前期比年率6.8%増と2四半期ぶりにプラス成長に戻った。個人消費や設備投資が増勢基調を維持するなど、内需が拡大し成長を下支えした。一方、輸出の減少が続き外需は低迷しているが、豪州と双方の相互往来(トラベルバブル)が4月19日に認められた。NZは観光収入がGDPの10%以上を占めるが、その4割が豪州となる。また、外需も乳製品など主要商品価格の上昇も見込まれるなか、持ち直しが期待される。新型コロナウイルス感染拡大措置のため、同国はいち早く都市封鎖を導入。国境を封鎖し渡航者全員の強制隔離を実施したほか、接触者の追跡を徹底的に行った結果、主要国に先行して経済活動正常化に舵を切った。なお、実質GDPは前期比ベースでは1.6%増と前期(同1.0%減)から持ち直し、NZ中銀(RBNZ)の見通し(同0.6%減)を上回る回復となった。今後もプラス成長が続くと市場は見込む。
NZ中銀(RBNZ)は5月26日、政策金利を0.25%に据え置き、資産買い入れ規模を1000億NZドルに維持したが、2022年6月の期日までに達しない可能性も示唆した。2022年9月までに0.25%の利上げを少なくとも1回実施、0.5%に引き上げられるとの見通しも示した。1‐3月期の失業率は4.7%へ低下、昨年7‐9月期(5.2%)をピークに改善が続くが、コロナ禍前の2019年10-12月期(4.1%)には距離がある。また、消費者物価指数(CPI)上昇率は前年比1.5%と中銀目標(1-3%)の中間値に推移し、物価の伸びは緩やかにとどまる。とはいえ、足元で企業や家計のマインドは改善が続き、景気先行きへの期待は高まっている。新型コロナウイルスワクチンの世界的な接種進展を背景に、各国の経済活動は正常化に向かい始めているが、ワクチン接種率について欧米と比べて、NZは12%弱と低い。オアRBNZ総裁は、「景気回復が予想通り進展すれば、2022年の今頃に金融政策の正常化を開始できる」と慎重ながら楽観的な認識を示しており、7月14日の次回会合は注目される。