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カナダ中銀は緩和政策を据え置き

2021-06-14

■ カナダ中銀は現行緩和策を維持、政策金利を2022年下期まで据え置く方針

 ■ 来週公表の5月消費者物価は鈍化しても、雇用改善が続き、BOCは段階的な緩和縮小へ

 カナダ(加)中銀(BOC)は9日、政策金利を0.25%に据え置いた。また、量的緩和策となる週30億加ドルの資産購入の目標も維持した。声明では、「同国の経済発展は4月の金融政策レポートでの見通しに沿って広がっており、新型コロナウイルス感染第2波にも関わらず、1?3月期の実質GDPは前期比年率5.6%増と堅調だった」と記された。また、「第3波による都市封鎖の再導入が4-6月期の経済活動を弱める可能性はあるが、新型コロナウイルスワクチンの接種が加速し、各州による制限規制が夏にかけて緩和されるなか個人消費がけん引、景気回復は強まる」との見通しも示された。5月の雇用統計では雇用者数が2カ月連続で減少、失業率は8.2%に上昇したが、「カナダ経済における過剰感は依然として根強く、現行の量的緩和策を維持し、政策金利を少なくとも2022年下期まで据え置く」との方針が改めて確認された。

   4月の消費者物価指数(CPI)上昇率は前年比3.4%と10年ぶりの高い伸びを記録。新型コロナウイルス感染拡大を抑えるため都市封鎖を導入したことによる物価安の反動が主因で、ガソリン(前年比62.5%上昇)と家賃(同3.2%上昇)の値上がりも物価を押し上げた。なお、BOCが重視するCPIコモンは同1.7%上昇、中央値とトリム値は同2.3%上昇と中銀目標(1‐3%)の範囲内に収まったが、物価上昇圧力は高まっている。 物価動向について、BOCは「夏にかけて3%近くにとどまるが、年内には鈍化する」と予想しており、16日公表の5月CPI は注目される。各州が都市封鎖を解除し経済活動が正常化するなか、雇用回復ペースが早まるなどすれば、BOCは7-9月期に資産購入を減額すると市場は見込む。昨日の政策決定を受けて、加10年債利回りは1.40%台と3月初旬以来の低水準を付けたが、同2年債利回りは0.32%台前後で安定推移。為替市場では、2022年内の利上げ観測を受けた加ドル高の調整が進み、目先は下げに転じる可能性もあるが、中長期的な加ドル高の基調は継続するとみている。

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