6月第3週(14-18日)の相場展望
2021-06-14
注目された米国CPIは予想の前月比0.4%に対して結果は0.6%だった。しかし市場は既にある程度警戒し、上向き結果を期待し相場に織り込んでいたため、予想よりやや良かったが利食いのドル売りに傾斜した。またECB金融政策決定会合では、直近のインフレ懸念から上昇気味の長短金利を緩ませるような発言が中心であった。今年の域内GDPと物価の見通しを上方修正したが、パンデミック緊急購入プログラムの規模は予想通りに維持することで決定した。
<主なコメントは下の通り>
・「総合インフレ率は今後数カ月に上昇する公算大」
・「基調的なインフレ圧力は依然として弱い」
・「総合インフレ率は予測対象期間では目標値を下回った」
・「拙速な引き締めは経済成長とインフレへのリスクになる」
・「ユーロ圏の成長リスクはいまやほぼ均衡している」
・「景気見通しについて3カ月前よりも楽観的」
・「PEPP(パンデミック緊急購入プログラム)終了の議論は時期尚早」
インフレが今後数か月で上昇すると予想し、景気見通しも楽観的というコメントがあったが、ユーロは買われず、長期金利も下げに転じて、株価の上昇を支える結果となった。 インフレにはやや警戒しているが、心配されるほどではなく、今後も経済を上向きにするためプログラム等の運営は引き続き行っていくという意味合いで、マーケットでは更なる株価上昇のリスクオン相場が期待されよう。しかし以前よりは経済に前向き発言が出だしたことで、近い将来プログラム縮小する方向性はありと見た。今後は、そのことに関して市場との対話を進めていくように感じるので、ラガルド総裁の発言の変化を観察することが重要となるだろう。市場が少しずつ反応するように対話をしながら、「タントラム」とならぬよう、上手い言い回しで徐々に発言を変化させるに違いないと思っている。今回もその気配は感じているが予想ほどではなかったということであろう、相場は落ち着いた反応となった。
米国の物価上昇懸念が台頭して以降、市場はインフレ率上昇を織り込んでいたが、米国長期金利が1.7%に乗せた3月を高値にじりじりと下落している。需給面から、米国債券を売りすぎるショートポジションが大きくなったことで買戻しとなり金利上昇に歯止めが掛かっている。高値の時には、バイデン大統領が約2兆ドルのインフラ投資計画を大きく打ち出したタイミングである。その後、インフラ計画は長い時間をかけて行うことや財政赤字拡大の懸念から議会で反発が多く、減額を余儀なくされた。米国ではワクチン接種が順調に進んでおり、そのためロックダウン解除が徐々に進みつつある。カリフォルニア州では今月15日にロックダウンを全面解除する予定としており、様々な施設での制限がなくなる。その前から消費には上昇傾向が出ており、半導体不足からの値上げ品の購入も落ち着きが見られていることなどで、今後インフレ上昇が一服しそうな統計も出だした。5月のNYK連銀とフィラデルフィア連銀の製造業景気指数では、そろって半年後の予想仕入れと販売価格が低下し、就業時間が増加したようだ。供給製品も在庫が増えだしており、人的不足も解消に向かっていることがインフレを緩和される一因となろう。市場では物価を先読みし、またFRBもインフレは一時的だとするコメントが増えていることも、長期金利の上昇に歯止めが掛かった要因である。
米国金利動向から大きな影響を受けている金相場は、直近で平行上昇トレンドバンドを下抜けした。直ぐに戻る場合はバンド内でのもみ合いも考えられるが、1855ドルを下回ると下落がやや加速し、下値目途は1843ドル付近と3月末の安値1677ドルと6月の高値1916ドルの38.2%戻しレベル1823ドル付近となる。反転上昇までは時間が掛かりそうだで1900ドルが重い感じ。今週のFOMC次第となろう。
<主なコメントは下の通り>
・「総合インフレ率は今後数カ月に上昇する公算大」
・「基調的なインフレ圧力は依然として弱い」
・「総合インフレ率は予測対象期間では目標値を下回った」
・「拙速な引き締めは経済成長とインフレへのリスクになる」
・「ユーロ圏の成長リスクはいまやほぼ均衡している」
・「景気見通しについて3カ月前よりも楽観的」
・「PEPP(パンデミック緊急購入プログラム)終了の議論は時期尚早」
インフレが今後数か月で上昇すると予想し、景気見通しも楽観的というコメントがあったが、ユーロは買われず、長期金利も下げに転じて、株価の上昇を支える結果となった。 インフレにはやや警戒しているが、心配されるほどではなく、今後も経済を上向きにするためプログラム等の運営は引き続き行っていくという意味合いで、マーケットでは更なる株価上昇のリスクオン相場が期待されよう。しかし以前よりは経済に前向き発言が出だしたことで、近い将来プログラム縮小する方向性はありと見た。今後は、そのことに関して市場との対話を進めていくように感じるので、ラガルド総裁の発言の変化を観察することが重要となるだろう。市場が少しずつ反応するように対話をしながら、「タントラム」とならぬよう、上手い言い回しで徐々に発言を変化させるに違いないと思っている。今回もその気配は感じているが予想ほどではなかったということであろう、相場は落ち着いた反応となった。
米国の物価上昇懸念が台頭して以降、市場はインフレ率上昇を織り込んでいたが、米国長期金利が1.7%に乗せた3月を高値にじりじりと下落している。需給面から、米国債券を売りすぎるショートポジションが大きくなったことで買戻しとなり金利上昇に歯止めが掛かっている。高値の時には、バイデン大統領が約2兆ドルのインフラ投資計画を大きく打ち出したタイミングである。その後、インフラ計画は長い時間をかけて行うことや財政赤字拡大の懸念から議会で反発が多く、減額を余儀なくされた。米国ではワクチン接種が順調に進んでおり、そのためロックダウン解除が徐々に進みつつある。カリフォルニア州では今月15日にロックダウンを全面解除する予定としており、様々な施設での制限がなくなる。その前から消費には上昇傾向が出ており、半導体不足からの値上げ品の購入も落ち着きが見られていることなどで、今後インフレ上昇が一服しそうな統計も出だした。5月のNYK連銀とフィラデルフィア連銀の製造業景気指数では、そろって半年後の予想仕入れと販売価格が低下し、就業時間が増加したようだ。供給製品も在庫が増えだしており、人的不足も解消に向かっていることがインフレを緩和される一因となろう。市場では物価を先読みし、またFRBもインフレは一時的だとするコメントが増えていることも、長期金利の上昇に歯止めが掛かった要因である。
米国金利動向から大きな影響を受けている金相場は、直近で平行上昇トレンドバンドを下抜けした。直ぐに戻る場合はバンド内でのもみ合いも考えられるが、1855ドルを下回ると下落がやや加速し、下値目途は1843ドル付近と3月末の安値1677ドルと6月の高値1916ドルの38.2%戻しレベル1823ドル付近となる。反転上昇までは時間が掛かりそうだで1900ドルが重い感じ。今週のFOMC次第となろう。
金の日足チャート

株式相場は強く上昇傾向を保っているが、FXペアや金価格はこのところレンジ内の取引で終始している。今週は米国FOMCが焦点となろう。ECBの方向性と英国のそれもまた同じく、双方共に短期的な金利上昇よりコロナ後の景気回復を重要視していることが伺える。そのため全般的にはややドル高で、米国FOMC次第と言える。FRBも金利上昇に関しては警戒しているが、委員のコメント等を鑑みると、どちらかというとコロナ後の景気を考慮している様子である。このイベント直後はやや動きがあっても大きく動くとは考えづらい、米国債券のショートが膨らんでいることが気になる程度か。居心地の良い金利水準まで下がってきたことで、株式相場には引き続き低金利が支援となりそうだ。その他日銀金融政策決定会合が控え、経済指標では、米国フィラデルフィア連銀製造業景気指数、ニューヨーク連銀製造業景気指数、住宅関連指標、中国では鉱工業生産と小売売上高、欧州の経済指標は重要なものは少ない。その中では、直近で住宅関連指標に悪化傾向が見られることで、米国の関連指数発表に注目している。