News

リオープニング・トレードの次のターゲットは?

2021-06-11

■ 新型コロナウイルスワクチンの普及とともに、世界では「リオープニング・トレード」が広がっている
■ 足元でワクチン接種率が急上昇している日本が次のターゲットに浮上か

  「リオープニング・トレード(経済活動再開に賭ける取引)」が世界的に広がりつつある。背景には新型コロナウイルスワクチンの普及が挙げられ、ワクチン接種率が上昇し、集団免疫獲得を見込むことができるようになった国/地域からこの動きが強まっている。事後的には、ワクチン接種率の上昇とともに、景況感(主に国内の経済活動を反映するサービス業PMIなど)が大きく改善していることも明らかとなっている*1。  この動きは、まず、米国で3月頃より顕著となり、ワクチン接種の進展や経済活動制限の緩和とともに株高が進行した。5月頃からはユーロ圏でも同様の動きが広がり、5月以降に限れば、欧州株の上昇率は米国株を上回っている*2。その一方、すべての地域でこの動きが観測される訳ではない。例えば、ワクチン接種が遅れた日本では、3月以降の世界的な流れに乗ることが出来ず、日本株の相対的な伸び悩みが目立っている。これらを踏まえると、ワクチン接種率はここまでのリオープニング?トレードのシグナルとして有効に機能していることが示唆される。

   このシグナルの有効性が続いていると仮定する場合、足元で注目されるのは日本である。5月にワクチンの高齢者接種が始まり、欧米を上回るペースでワクチン接種率が上昇している。5月のサービス業PMIが4カ月ぶりに低下するなど、緊急事態宣言の影響により国内の景況感は低迷が続いているものの、5月の景気ウォッチャー調査では、先行き判断DIが3カ月ぶりに上昇し、景気の先行きには改善の兆しもみえ始めている。6月以降、対面サービスなどでの景況感改善が明確になるようならば、日本でもリオープニング・トレードが広がる可能性はあろう。

*1 詳細は PRESTIA Insight Market Alert 「ワクチン普及と景況感の関係」(2021年6月9日)
*2 欧州株はストックス欧州600指数、米国株はS&P500指数を参照。5月以降の変動率はそれぞれプラス3.8%、プラス1.1%となっている(6月8日時点)。
TOP