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米国とイランの核協議の行方に注目

2021-06-01

■ 新型コロナワクチンの普及に伴い、原油需要の回復基調は保たれる見込み

■ イランが原油需給に及ぼす影響は大きく、米国との核協議の行方が注目される


   石油輸出国機構(OPEC)は5月の月次報告で、世界第3位の石油消費国であるインドの景気動向が懸念されるものの、中国や米国の回復が下支えとなり、2021年の世界原油需要は前年比で日量595万バレルと大幅に増加するとの見通しを維持した。また、国際エネルギー機関(IEA)は5月の月例報告で、インドの感染拡大を踏まえて今年の世界の石油需要予測を引き下げたものの、年後半の見通しを維持し10-12月期には新型コロナ禍前の水準に近づくと予想。主な国際機関は世界的に新型コロナワクチンの普及に伴う経済活動の正常化が進み、需要の回復基調は保たれるとの見解で一致している模様だ。6月1日にOPEC加盟国と非加盟産油国によるOPECプラスの閣僚級会合が開催される。       

   OPECプラスは4月初めに協調減産を5月から段階的に縮小していくことで合意し、5-7月の生産量を日量210万バレル増やして減産幅を同580万バレルとすることで合意。5月に続き、6月もこの方針に従うことが見込まれている。

   こうしたなか、米国とイランの核協議が停滞している、事実上の交渉期限は5月21日から6月24日に延長されたが、6月18日にイラン大統領選が控えており、時間的猶予はない。ロウハニ現大統領の国際協調路線においても両国の主張に隔たりがあるなか、8月に就任する新大統領は保守強硬派となり同国の外交は大きく転換する公算が大きく、新大統領の下では協議が一段と難航するとみられている。IEAは5月の月例報告で、今年の石油需要は既に供給を上回っており、イランが輸出を増やした場合でも供給不足は拡大するとの見通しを示しているが、イランは原油供給能力が高く需給に及ぼす影響は大きい。今後の原油需給動向を見極めるうえで、両国の核協議の行方が注目される。
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