RBNZは2022年に利上げ開始へ
2021-05-28
■ ニュージーランド中銀(RBNZ)は現行政策を据え置く一方、2022年の利上げ開始を示唆
■ 金利先高観が強まるなかニュージーランド(NZ)ドルは急騰、対円は76-81円で強含みへ
ニュージーランド(NZ)準備銀行(RBNZ)は26日の政策決定会合で、政策金利を過去最低の0.25%、大規模資産買い入れプログラム(LSAP)の規模を1000億NZドルに据え置いた。借入コスト低下を促す資金供給プログラム(FLP)も維持。LSAPについては、2022年6月の期日までに1000億NZドルに達しない可能性があるとした。声明では、「消費者物価指数(CPI)が中銀目標の中間値2%近くで持続的に推移し、雇用が持続可能な最大限の水準にあると確信するまで、現行の景気刺激策を維持することで政策メンバーは一致した」ことが明らかにされたが、「これらの条件を満たすにはかなりの時間と忍耐が必要」との認識も示された。また、「政策金利は中期的には上昇していくと予想しているが、経済見通しが概ね想定通りであることが前提になる」と指摘。「世界的な原材料供給の混乱や原油高、輸送手段確保への圧力を含む一連の要因が、企業と消費者のコスト上昇につながっている」として、「物価上昇は一時的である公算が大きく、1年以内に弱まる」と分析。CPI上昇率は2021年4?6月期に2.6%でピークを打った後に鈍化し、持続的に2%を超えるのは2023年4?6月期以降だと予想した。政策金利見通しも公表。2022年9月までに0.25%の利上げを実施し政策金利は0.5%、2023年末に1.5%、2024年6月末には1.8%に達するとの予想だ。
NZでは新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めをかけるため、厳格な都市封鎖を度々導入。2020年3月には外国人の入国を原則禁止したが、豪州との隔離なしの相互往来を4月19日に再開。主要国に先駆けて経済活動が正常化し、1-3月期の雇用統計は失業率が4.7%と昨年7?9月期(5.2%)をピークに改善、コロナ禍前の水準(4%台前半)に近づきつつある。雇用や消費支出の改善が見込まれるうえ、乳製品など主要コモディティ価格の上昇も景気を下支えしている。主要国中銀に追随する緩和縮小はNZドルの急騰にもつながりかねず、RBNZは慎重に政策調整を図ることになろう。ただ、RBNZの政策発表を受けて、NZドルは急騰。対米ドルは0.73米ドル台前半、対円は79円台後半と今年2月以来、2018年2月以来の高値を付けた。6月17日発表の1?3月期の実質GDPは2四半期連続でマイナス成長にとどまるが、4?6月期以降はプラス成長に向かうとRBNZは見込む。当面のNZドル円は76?81円で強含みに推移し、金利先高観がさらに強まれば、2017年7月高値83円91銭を意識する展開となろう。