日本株巻き返しの条件は時間の経過とワクチン接種
2021-05-19
■ 景気回復の主役交代が日本株見劣りの背景
■ 時間の経過とワクチン接種が日本株巻き返しの条件に
日本株の反発が鈍い。日経平均株価は11日から13日の3日間で2070円下落し、一時1月7日以来の水準となる27385円を付けた。その後の反発も鈍く、年初来上昇率(5月17日時点)は1.39%と、米S&P500株価指数(10.84%)、ストックス欧州600指数(10.84%)より大きく見劣りしている。オリンピック開催を巡る不透明感や内閣支持率の低下なども要因に挙げられるが、世界の景気敏感株と認識される日本株が欧米株に劣後している主因は、経済活動の正常化に伴い景気回復の主役が製造業からサービス業に交代しつつあることと思われる。半導体不足や輸送の目詰まりなどの供給制約が製造業の回復の足かせになるとの思惑が浮上。同時に、レストランや宿泊などサービス業の活動が再開し、景気回復を力強くけん引するとの期待が強まりやすい。前者は日本株には悪材料と意識されやすく、新型コロナワクチン接種が欧米対比で出遅れている日本は後者の期待も持ち難い状況にある。
5月に公表された米経済指標でも示唆された通り、経済活動の正常化の勢いは想定以上に力強い。そのため、欧米企業の向こう1年予想一株当たり利益(EPS)が切り上がる一方で、日本企業は緩やかな上昇にとどまっている。利益見通しの改善の勢いの差が株価動向に反映されていると考えられる。今後は、供給制約が時間の経過とともに解消に向かえば製造業が主役の日本株には追い風になるほか、ワクチン接種の進展により企業の保守的な業績見通しが上方修正に向かう可能性がある。日本株の巻き返しに期待したい。