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米銀の融資基準は緩和領域に

2021-05-12

■ 米金融機関の融資基準は大幅に緩和
■ EPSの大幅改善が示唆されるが、株価にはすでに織り込み済み

   米連邦準備理事会(FRB)は3日、最新のシニア?ローン?オフィサー・サーベイを公表した。これはFRBが米金融機関に対して過去3カ月間の資金需要や融資態度などについて四半期ごとに聞き取り調査を行うもので、調査対象となる金融機関は3月22日に調査票を受け取り、4月2日までに回答した。これによれば、大・中企業(年間売上高5千万ドル以上)向け融資基準DI(全回答に占める厳格化の割合-緩和の割合)はマイナス15.1と前回1月調査(プラス5.5)から大幅に緩和し、2020年1月調査(マイナス2.8)以来となる緩和超の領域となった。米主要金融機関の1-3月期決算で不良債権の減少と貸倒引当金の取り崩し進展が確認されたことや、FRBが新型コロナウイルス感染拡大を受けて米金融機関に対して導入した配当支払いと自社株買いに対する制限について、6月に行う次回のストレステスト(健全性審査)後に大半の銀行を対象に解除する方針を示したこととも整合的な結果である。新型コロナウイルスワクチンの普及に伴い経済活動が正常化に向かうとの見方が強まり、米金融機関が企業収益の先行きに対する警戒を緩めて融資基準を緩和し始めたことが明らかとなった。
同DIは設備投資や鉱工業生産、新規雇用の先行指標として有効に機能してきたほか、企業の営業利益率に対して概ね3四半期の先行性が確認されており、営業利益率が改善し今年後半の企業利益を下支えすることが示唆される。ただし、市場ではS&P500株価指数構成企業の一株当たり利益(EPS)に関して、新型コロナ禍前の2019年10-12月期と比較して10-12月期、来年1-3月期のいずれも約16%上回る水準となることが予想されている(5月7日時点)。株価はすでにEPSの大幅改善を見越して価格形成されており、投資家には引き続きこうした期待が実現するかを見極めていく姿勢が求められよう。

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