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FRBは景気/インフレ判断を上方修正も大規模金融緩和を継続~

2021-05-03

    FOMC声明文では、現状の景気判断とインフレ判断を上方修正したほか、見通しの下振れリスクが軽減したとの見方を示した。ただし、パウエルFRB議長は「FRBの目標からかなり乖離しており、一段の顕著な進展が達成されるまでには時間がかかるとみられる」としたうえで、「金融緩和策の出口について議論する時期ではない」とテーパリングについてまだ対話を始める時期ではないと説明した。目標に向けて一段と顕著な進展を目にするまでしばらく時間がかかるとの見方を示し、市場で警戒されている早期のテーパリング対話開始を否定した。
   景気の現状判断に関して声明文では、「ワクチン接種の進展や大型の政策支援によって、経済活動と雇用に関する指標は力強さを増している。パンデミックで最も深刻な打撃を受けた部門は引き続き低迷しているが、改善が見られる」と前回の「回復ペースが鈍化した後、経済活動と雇用に関する指標が足元で上向いている。ただし、パンデミックで最も深刻な打撃を受けたセクターは脆弱なままである」から上方修正された。声明文では、21年1-3月期の雇用、消費の回復ペースの加速を受け、景気判断を上方修正したものの、FRB議長は「経済の回復は想定よりも早いが、依然として不均衡で完全な回復にはほど遠い」との認識を示した。
インフレの現状判断について声明文では、「インフレ率は主に一時的な要因によって上昇している」と前回の「インフレ率は引き続き2%を下回って推移している」から上方修正されたものの、大部分が一時的な要因による上昇との 見方を示した。また、議長も「インフレ圧力の上昇は一過性のものにすぎない」と金融緩和の縮小に影響するような持続的なインフレ率の上昇ではないとの認識を示した。
   景気の先行きに関して、声明文では前回同様「経済の道筋はワクチン接種の進展など、ウイルスを巡る状況に大きく左右されるだろう」と見通しはワクチン接種、新型コロナウイルスの感染拡大やその対応で変化することを指摘するだけにとどめたが、見通しのリスクについて「現在進行中の公衆衛生の危機は引き続き経済に重くのしかかり、経済見通しに対するリスクは残っている」と前回の「現在進行中の公衆衛生の危機は引き続き経済活動、雇用、インフレ率に重くのしかかり、経済見通しに著しいリスクを呈している」から、下振れリスクが弱まったとの判断を示した。
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