ECB理事会レビュー:改めて金融緩和姿勢を示した
2021-04-26
■ 今回のECB理事会は金融政策の現状維持が決定され、概ね市場予想の範囲内におさまった
今回はPEPPを巡る今後の方針で、ECBが金融緩和から姿勢転換の兆しを示すか注目されていた。つまり、3月理事会で増額するとされたPEPPによる債券買い入れペースを戻す時期と、PEPPの段階的な縮小(テーパリング)開始時期の議論についてである。しかしながら、これらに関しても特段新たな方針は示されず、次回の6月理事会へ議論は持ち越しとなっている。前者については、4月上旬にオーストリア中銀のホルツマン総裁とオランダ中銀のクノット総裁が、「7-9月期に債券買い入れペースを戻すことは可能」との見解を表明していたものの、今会合では主要な議論とならなかった模様。元々、ラガルドECB総裁をはじめ、金融緩和長期化が望ましいとの見解を持つECBメンバーが多数派であることは、各種講演などで示されていた。そのため、現時点でこうしたメンバーの政策姿勢に変化はないと判断できよう。後者については、4月21日にカナダ中銀が債券購入額の目標を減額する方針を発表しており、ECBの対応についても注目が集まっていた。だが、ラガルドECB総裁は会合後の記者会見で、テーパリングを巡る議論は時期尚早との見解を示した。なお、同総裁は4月14日の講演で「ユーロ圏経済は『2本の松葉杖(=金融?財政政策のこと)』で支えられている」との見解も示しており、景気回復が明確になるまで金融緩和を続ける意思は強いとみられる。
ECB理事会の結果を受けた市場の反応は、欧州株高/欧州国債利回り低下/ユーロ安と、ひとまずECBの金融緩和姿勢を評価した結果となっている。現時点で世界の二大中銀である米連邦準備理事会(FRB)とECBが景気支援を継続している点は、引き続き金融市場の支えとして機能するとみられる。また、今後もECBの金融政策見通しを見極めるため、PEPPを巡る議論の行方を注視しておきたい。
■ ECB内の政策引き締め積極派はまだ少数とみられ、ECBの金融緩和姿勢は市場の支えに
本稿では、4月22日に開催された欧州中銀(ECB)理事会の結果をまとめる。今会合の結果は概ね市場予想通りであり、ECBの金融緩和姿勢が改めて意識された。ECBは政策金利を現状維持としたうえ、パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)についても従来の方針を据え置いた。PEPPの規模は1兆8500億ユーロのまま、期間は2022年3月末まで継続と、昨年12月理事会での決定を維持。今回は四半期に一度のECBスタッフによる経済予測公表(次回実施は6月理事会)もなかったことから、順当な結果だったと言えよう。今回はPEPPを巡る今後の方針で、ECBが金融緩和から姿勢転換の兆しを示すか注目されていた。つまり、3月理事会で増額するとされたPEPPによる債券買い入れペースを戻す時期と、PEPPの段階的な縮小(テーパリング)開始時期の議論についてである。しかしながら、これらに関しても特段新たな方針は示されず、次回の6月理事会へ議論は持ち越しとなっている。前者については、4月上旬にオーストリア中銀のホルツマン総裁とオランダ中銀のクノット総裁が、「7-9月期に債券買い入れペースを戻すことは可能」との見解を表明していたものの、今会合では主要な議論とならなかった模様。元々、ラガルドECB総裁をはじめ、金融緩和長期化が望ましいとの見解を持つECBメンバーが多数派であることは、各種講演などで示されていた。そのため、現時点でこうしたメンバーの政策姿勢に変化はないと判断できよう。後者については、4月21日にカナダ中銀が債券購入額の目標を減額する方針を発表しており、ECBの対応についても注目が集まっていた。だが、ラガルドECB総裁は会合後の記者会見で、テーパリングを巡る議論は時期尚早との見解を示した。なお、同総裁は4月14日の講演で「ユーロ圏経済は『2本の松葉杖(=金融?財政政策のこと)』で支えられている」との見解も示しており、景気回復が明確になるまで金融緩和を続ける意思は強いとみられる。
ECB理事会の結果を受けた市場の反応は、欧州株高/欧州国債利回り低下/ユーロ安と、ひとまずECBの金融緩和姿勢を評価した結果となっている。現時点で世界の二大中銀である米連邦準備理事会(FRB)とECBが景気支援を継続している点は、引き続き金融市場の支えとして機能するとみられる。また、今後もECBの金融政策見通しを見極めるため、PEPPを巡る議論の行方を注視しておきたい。