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円は調達通貨としての役割を継続へ

2021-04-21

■ ドル円はドル安?円高が加速しているが、クロス円は総じて円安継続

■ 米国とユーロ圏の政策と政局が注目されるなか、調達通貨の役割を果たす円の存在は変わらず


   ドル円は今朝のアジア市場で一時108円を割り込んだが、本邦金融機関による仲値決定を前に108円台前半へ持ち直している。米連邦公開市場委員会(FOMC)を4月27、28日に控えて(政策発表は日本時間29日午前3時)、米長期金利の低下に歯止めが掛かり、ドル安の流れが一巡したとみるには早計だが、クロス円は概ね堅調なため、円高への警戒感は強くないと判断される。一方、ドイツ(独)長期金利の上昇を後追いしたユーロ高は継続。独米金利差縮小を背景に、ユーロドルは3月31日に付けた安値1.1702ドルで底入れ感が広がり、1.20ドル台半ばをうかがう動き。米日本の長期金利に目配りすれば、昨日のアジア市場でのユーロ売り/円買いは不可解だが、ユーロ円は4月以降129円台半ばから130円台後半の高値圏でレンジ相場を維持している。
    公表済みの欧州中銀(ECB)理事会議事要旨(3月10、11日分)によれば、7-9月期以降はパンデミック緊急購入プログラム(PEPP)の買い入れペースを鈍化させることが可能だとするメンバーの意見に、幅広い合意がなされたことが明らかにされた。ただ、新型コロナウイルスワクチンの接種進展を見込めることを前提としており、22日の理事会ではPEPPに関わる協議進展が注目される。独10年国債利回りが終値ベースでマイナス0.24%まで上昇した背景には、9月の総選挙後に引退するメルケル首相の後継争いを視野に入れた動きも一因となっている。昨日、環境保護を掲げる「緑の党」はベアボック共同党首を首相候補に擁立、同氏は教育とデジタル・環境技術への投資に注力するとの見解を示した。最新の世論調査では、キリスト教民主同盟?社会同盟の連立与党に迫る支持率上昇で、「緑の党」が連立政権入りとの見方もある。政策手腕は未知数だが、政権入りとなれば財政支出拡大への思惑は広がる。
    米国とユーロ圏の政策や政局を巡る不確実性は、ドルとユーロのボラティリティを高めることになろう。一方、市場のリスク選好度が弱まれば、円高の局面も間々あろうが、調達通貨としての役割を果たしてきた低金利の円の存在感に変わりはなく、中長期的には円安基調が続くと予想する。目先、ドル円は108円を明確に割り込んでも、年初来の上昇幅(102円57銭-110円96銭)に対する38.2%戻し107円76銭や半値戻し106円77銭を下値メドに底堅く、ユーロ円は節目の132円を上値メドにユーロ高/円安が進行するとみている。
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