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米長期金利は横ばい推移に移行か

2021-04-20

■ 4月に入り、米長期金利の上昇基調が一巡

■ 金利圧力は徐々に弱まるものの、方向感を見出しにくい局面に


    米長期金利の上昇基調が一巡している。景気回復期待を背景に期待インフレの上昇を伴いつつ、3月30日に一時1.78%付近まで上昇したものの、4月に入り上昇基調が一巡し、15日には1.52%まで低下した。(1)米連邦準備理事会(FRB) が繰り返し説明しているように、足元の物価上昇は一時的である可能性があり、新型コロナウイルス感染抑制後のインフレ動向を見極めるのに時間がかかる、(2)インフレ率が2%を超えた水準で定着したことを実績ベースで確認してから利上げを行うというFRBの説明が一貫している、ことなどを市場が再認識し、それまで想定してきた金利上昇方向への見方を改めたようだ。これまで金融緩和解除の前倒しを織り込んできた動きが逆転し、行き過ぎたポジションの調整が行われていると解釈できる。
    今後、米国では力強い景気回復とインフレ上昇を示す経済指標の公表が続くことが見込まれ、米長期金利の低下圧力は徐々に弱まるだろう。一方で、上述の通り、インフレが持続的に高い水準となることを見届けるには時間がかかるとみられるほか、バイデン政権が打ち出したインフラ投資・社会保障の政策パッケージに関する議論は長期化するだろう。当面は米国債相場の方向性を決定付ける材料に乏しい時間帯となりそうで、10年国債利回りは当面1.6%前後を中心とした横ばい推移に移行していくことが想定される。
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