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米企業業績の腰折れによる株安リスクは低下に向かおう

2021-04-09

■ 業績回復基調に一服感が広がる見込みだが、市場予想を上回る期待感も

■ 経済活動正常化が進展し始めているように感じられ、業績腰折れによる株安リスクは低下か


   米主要企業の1-3月期決算発表が7日から始まり、14日の金融大手を経て本格化する。情報会社リフィニティブの集計(4月1日時点)によれば、S&P500株価指数構成企業の一株当たり利益(EPS)は前年比24.2%増と水準を切り上げるものの、前期比では6.5%減と企業業績の回復基調に一服感が広がることが見込まれている。しかし、1-3月期決算に関して見通しを公表した106社のうち、改善もしくは市場見通しを上回ると予測した企業は57社と、悪化もしくは市場見通しを下回るとした45社を上回っており、企業の業績見通しに対する自信がうかがえる。昨年10-12月期と同様、事前予想を上回る決算発表となるか注目される。
    S&P500株価指数構成企業全体のEPSは4-6月期以降、前期比増加基調に回帰することが見込まれている。このうち、全体をけん引してきたハイテク企業を中心としたグロース株EPSの伸びが大きく鈍化する一方、景気動向に敏感なバリュー株EPSの伸びが加速することが期待されている。その意味では、ワクチンの普及を背景に経済活動の正常化が順調に進むかが重要であろう。米国では、1回でもワクチンを接種した人の割合は全人口の32%、ワクチン接種が完了した人の割合は19%となっている*1。現行ペースが維持されれば、今夏にも全体の半数がワクチン接種を完了することになる。足元で新規感染者数が再び増加基調にあることは懸念されるが、先行例であるイスラエルでは、国民の半数近くがワクチン接種を完了した段階で、新規感染者数が急激に減少しており、米国でも同様の結果となるか期待される。2日に公表された3月の米雇用統計でも、宿泊?飲食業や教育関連の雇用回復が鮮明となっており、経済活動の正常化が着実に進展しているように感じられる。企業業績の腰折れにより米国株が下落基調に転じるリスクは低下に向かうと考えている。
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