2021年4月第二週(5~9日)の相場展望
2021-04-05
バイデン政権は、先日の新型コロナウイルス対策で約1.9兆ドル(約200兆円)規模の大型政府支出からの財政赤字の懸念や景気回復への期待で、先月から長期金利の上昇が加速していた。長期金利の上昇が株式市場への利食い=下落を促し、株式市場の調整局面となり、その後やや落ち着いたかに見えた長期金利、米国10年債は米国S&P指数の配当率を上回る1.7%に再度乗せてきた。先週には、経済への新たな施策として、250兆円規模のインフラ計画を発表し、米国長期金利は1.7%を中心に高値もみ合いで推移している。このインフラ計画は、前回の経済対策をやや上回るがプログラムの期間は約8年を予定しており、景気動向によっては額が調整されると思われる。長期間にわたる対策ということで、長期金利の押上げにはやや乏しい側面がある。また1.7%を超えた長期金利に対して、FRB連邦銀行のメンバーから金利上昇の加速懸念を冷やすコメントが増えてきており、火消しの役割ともなった。昨年からの原油高が米国のインフレには懸念の一つではあるが、それをドル高が緩和しており、米国にとっては悪くないドル高かもしれない。
米国長期金利の上昇を横目にドル相場は堅調な地合いが継続しており、先週時点での長期ポジションでドルの買い持ちが過半数を上回ってきた。米国FRBによるテーパリングへ観測には、パウエルFRB議長が釘を刺すようなコメントが主張されているが、米国景気の回復期待を反映して動く、自然で落ち着いた金利上昇については静観するような姿勢である。次の一手は、金融引き締めの方向は決まっている。しかし日銀は、黒田総裁のコメントにあるように、前回の金融政策決定会合では、短期金利に連動する上乗せ金利を金融機関に与える制度を導入し、マイナス金利の深堀余地を確保したということ。長期金利の主要変動お幅は若干ながら拡大したが、無制限の国債買い入れの指値オペを導入して、中庸度を確保している。日銀の次の一手は、どちらかまだ明白ではない。株の買い入れは、日経平均型(225銘柄)からより多くの銘柄群であるTOPIX銘柄(東証一部の全銘柄、約2200銘柄)に切り替えただけで、買い入れ額には変更がなかった。こうなると、市場は双方の金利差拡大が近い将来加速すると読んでのドル買い円売りとなっている。クロス円はドル買いが欧州やオセアニアの通貨を抑え込んではいるが、先週のように米国長期金利の上昇が緩やかな場合、ドル買いながらも対ドル通貨の下値も止められ、その結果としてクロス円の上昇に繋がっている。そのタイミングは株価の上昇に連れているようだが、日銀スタンスの背景から円安となっているのが理由としては説得力がありそうだ。つまり、リスクオンの円安より、期待金利差からの円安となっているのが伺える。
欧州は、ロックダウンの厳格化を決めたフランスやイタリアを筆頭にコロナの新規感染者数が増加しており、経済への懸念は大きいが、ワクチン期待もあり、ドイツの株価は史上最高値を更新しており、市場マインドは楽観的に傾きつつある。ECB理事会メンバーのワイトマンドイツ連銀総裁は、新型コロナウイルスの感染急増で域内の経済再開が遅れる中、ECBが先に示した今年4%の経済成長目標の達成が危うくなっているという見方を示した。インフレを懸念しているドイツの上官のコメントが株価に火をつけることになっている。市場はECBの懸念をよそに欧州で低金利から株高という動きを再度先取りし始めた。連動して、ユーロも一旦は下支えされている。コロナ後に年4%も経済成長する必要があるのか、個人的には不思議に感じる。前年度が大きく悪化したのは分かるが、急な反動増を期待するより、徐々に時間を掛けてコロナに対する懸念払しょくまで、民間のマインド復活を待つ時間が必要ではないだろうか。コロナが蔓延すると今以上の低金利は意味がないとみている。それよりバブルの温床を生み出し、近い将来急な金融引き締め(テーパリング)からの相場攪乱を生み出す可能性をも視野に入れるべきだと考える。結果は将来分かるだろうが、リーマンショックを忘れたように各国先進国はお金を回しすぎているように感じるのは私だけなのだろうか。ワクチン接種は進んでいるとは言え、今や政治に接近している世界の中銀は変異型ウイルスや各国の経済活動、雇用環境など、以前に増して幾多に渡って心配することが増えているように感じられる。市場では、債券相場(市場金利)が調整してくれるのか、しかしそこも中銀がコントロール可能な現状では、どこまでマネーの膨張が続くのかは予不可能に近くなってきた。それ自体がリスクでもあることを、各国中銀は理解しているのか疑問である。しかし十分な緩和が無ければ、特にサービス業からの企業活動低迷は続いてしまうだろうから、前例がほぼ無いだけに非常に難しい舵取りは続くだろう。
ここのところの円安をけん引しているドル円は、先週初めに長期的な三角持ち合いを上に明確に抜けたことで、テクニカル面からの買いサポートも大きな上昇理由となっている。先週半ばに高値110.96を付けたあとに伸び悩む展開。ただ天井うちを付けたシグナルは出ていないので、まだ上昇余地はある様子。日足のRSIが80を越えたことで、過熱感は残るが、110円に乗せてからは、109円台に戻すことなく推移している。110円台のもみ合いで過熱感を冷ましながら111円に乗せてくることがあると、次なるターゲットは昨年2月に付けた112.22をトライする可能性が大きくなっていくだろう。下値に関しては、25日移動平均線がサポートになりそうで、月曜日時点では109.03で推移し、今のペースでは毎日15銭程度上昇傾向にある。109円台に入ると上値が重く感じられ、25日移動平均レベルとのせめぎ合いとなるだろう。その場合は、このラインでサポートされ上昇するのか、下へと割り込んでいくのかで、ドル単体の動きが把握出来そうだ。
ドル円日足チャート

米国長期金利の上昇を横目にドル相場は堅調な地合いが継続しており、先週時点での長期ポジションでドルの買い持ちが過半数を上回ってきた。米国FRBによるテーパリングへ観測には、パウエルFRB議長が釘を刺すようなコメントが主張されているが、米国景気の回復期待を反映して動く、自然で落ち着いた金利上昇については静観するような姿勢である。次の一手は、金融引き締めの方向は決まっている。しかし日銀は、黒田総裁のコメントにあるように、前回の金融政策決定会合では、短期金利に連動する上乗せ金利を金融機関に与える制度を導入し、マイナス金利の深堀余地を確保したということ。長期金利の主要変動お幅は若干ながら拡大したが、無制限の国債買い入れの指値オペを導入して、中庸度を確保している。日銀の次の一手は、どちらかまだ明白ではない。株の買い入れは、日経平均型(225銘柄)からより多くの銘柄群であるTOPIX銘柄(東証一部の全銘柄、約2200銘柄)に切り替えただけで、買い入れ額には変更がなかった。こうなると、市場は双方の金利差拡大が近い将来加速すると読んでのドル買い円売りとなっている。クロス円はドル買いが欧州やオセアニアの通貨を抑え込んではいるが、先週のように米国長期金利の上昇が緩やかな場合、ドル買いながらも対ドル通貨の下値も止められ、その結果としてクロス円の上昇に繋がっている。そのタイミングは株価の上昇に連れているようだが、日銀スタンスの背景から円安となっているのが理由としては説得力がありそうだ。つまり、リスクオンの円安より、期待金利差からの円安となっているのが伺える。
欧州は、ロックダウンの厳格化を決めたフランスやイタリアを筆頭にコロナの新規感染者数が増加しており、経済への懸念は大きいが、ワクチン期待もあり、ドイツの株価は史上最高値を更新しており、市場マインドは楽観的に傾きつつある。ECB理事会メンバーのワイトマンドイツ連銀総裁は、新型コロナウイルスの感染急増で域内の経済再開が遅れる中、ECBが先に示した今年4%の経済成長目標の達成が危うくなっているという見方を示した。インフレを懸念しているドイツの上官のコメントが株価に火をつけることになっている。市場はECBの懸念をよそに欧州で低金利から株高という動きを再度先取りし始めた。連動して、ユーロも一旦は下支えされている。コロナ後に年4%も経済成長する必要があるのか、個人的には不思議に感じる。前年度が大きく悪化したのは分かるが、急な反動増を期待するより、徐々に時間を掛けてコロナに対する懸念払しょくまで、民間のマインド復活を待つ時間が必要ではないだろうか。コロナが蔓延すると今以上の低金利は意味がないとみている。それよりバブルの温床を生み出し、近い将来急な金融引き締め(テーパリング)からの相場攪乱を生み出す可能性をも視野に入れるべきだと考える。結果は将来分かるだろうが、リーマンショックを忘れたように各国先進国はお金を回しすぎているように感じるのは私だけなのだろうか。ワクチン接種は進んでいるとは言え、今や政治に接近している世界の中銀は変異型ウイルスや各国の経済活動、雇用環境など、以前に増して幾多に渡って心配することが増えているように感じられる。市場では、債券相場(市場金利)が調整してくれるのか、しかしそこも中銀がコントロール可能な現状では、どこまでマネーの膨張が続くのかは予不可能に近くなってきた。それ自体がリスクでもあることを、各国中銀は理解しているのか疑問である。しかし十分な緩和が無ければ、特にサービス業からの企業活動低迷は続いてしまうだろうから、前例がほぼ無いだけに非常に難しい舵取りは続くだろう。
ここのところの円安をけん引しているドル円は、先週初めに長期的な三角持ち合いを上に明確に抜けたことで、テクニカル面からの買いサポートも大きな上昇理由となっている。先週半ばに高値110.96を付けたあとに伸び悩む展開。ただ天井うちを付けたシグナルは出ていないので、まだ上昇余地はある様子。日足のRSIが80を越えたことで、過熱感は残るが、110円に乗せてからは、109円台に戻すことなく推移している。110円台のもみ合いで過熱感を冷ましながら111円に乗せてくることがあると、次なるターゲットは昨年2月に付けた112.22をトライする可能性が大きくなっていくだろう。下値に関しては、25日移動平均線がサポートになりそうで、月曜日時点では109.03で推移し、今のペースでは毎日15銭程度上昇傾向にある。109円台に入ると上値が重く感じられ、25日移動平均レベルとのせめぎ合いとなるだろう。その場合は、このラインでサポートされ上昇するのか、下へと割り込んでいくのかで、ドル単体の動きが把握出来そうだ。
ドル円日足チャート

ユーロドルの動きは、ドル円とは逆で底値からは脱しているが反発も弱い。2月後半からの下落トレンドラインが上値を抑えており、下落基調は変わっていない。ただトレンドラインに迫っているが、上にブレイクとなっても終わる可能性が考えられる。下値は1.1695と1.1600付近にサポートがある。もしドル円の110円割れとユーロドルの上へのブレイクが同時に起こるとすれば、ドル単体での上昇基調から転換の可能性も考えられる。米国の長短金利や欧州の新型コロナウイルス感染者増加をチェックし、FRB委員のコメントなども加味しながら相場を読んでいくことが重要となる。
ユーロドル日足チャート

ユーロドル日足チャート

先週金曜日に発表された米国の雇用統計では、非農業部門雇用者数が予想の64万人を大きく上回る約91万人という結果となり、大幅な雇用の伸びを見せた。その結果を受けて、短期金利の上昇が顕著となり、注目の10年物長期金利は週末前で利食いもあり若干上昇したに留まった。結果として長短金利の縮小となっていて落ち着いた動きと捉えられた。雇用の改善を受けて市場では、FRBが金利引き締めスタンスを余儀なくされるという思惑の中、今週はイースター明けで市場参加者が戻ってくる。5日(月)は米国ISM非製造業指数、7日(水)にはFOMC議事要旨の発表があり、その内容に注目したい。また6日(火)は中国サービス業PMIや豪国の政策金利、欧州の失業率発表となる。今週は大きなイベントは無いが、休場明けで薄い相場の中、引き続きドルの動きと円安継続となるか見極めていきたい。