住宅政策の見直しはNZ経済の足かせになりかねず
2021-03-25
■ NZ政府は住宅価格高騰を問題視、NZ中銀の政策運営に「住宅価格考慮」を追加した
今回政府から発表された措置には、38億NZドルの住宅供給基金設置のほか、本人居住用以外の住宅売却益の免税に必要な保有期間を5年から10年へ延長、家賃収入と住宅ローン金利の相殺禁止などが含まれる。投資家及び家主の負担が増し、投資用住宅の売却増加や家賃上昇の可能性も指摘されている。さらに、アーダーン首相は、当初は金利のみを返済するインタレスト?オンリーローンや収入に占める返済負担率の制限なども、RBNZと検討中であると明かした。RBNZの住宅価格考慮が発表された2月には、マイナス金利導入の可能性が低下しNZドルは年初来高値を更新。だが、今回の措置は住宅市場の活況が損なわれ、NZ経済全体への足かせになりかねないとの見方が市場では強い。世界的な株式市場の不安定さも相まってNZドル下落につながっている模様だ。NZドルは2月に対米ドルで0.7464米ドル、対円で79円21銭を付けた後、足元0.69米ドル台後半、75円台後半へ下げている。対米ドルで週足一目均衡表基準線0.6987米ドルを明確に下抜けると下落余地は広がろう。対円では、2月の上昇をほぼ吐き出した格好で、100日移動平均線74円76銭で下げ渋れるか注目だ。
■ NZ中銀の追加利下げは遠のいたが、政府の措置は経済全体の足かせになりかねない
ニュージーランド(NZ)政府は、3月23日に住宅供給の増加、住宅取得能力の向上、初回住宅購入者支援などの措置を発表した。アーダーン政権は格差解消の一環として、住宅価格高騰を問題視し、住宅政策の見直しを行ってきたが、NZ中銀(RBNZ)に対しても協力を求めている。RBNZは、1989年に世界で初めてインフレ目標を導入したことで知られるが、2018年3月に第1次アーダーン政権と合意した政策目標協定(PTA)に「雇用の最大化」を追加。さらに今年2月25日に、3月1日より新たな目標や責務ではないものの、政府から付託された権限(remit)に住宅価格への考慮が加わると発表した。中央銀行が住宅価格まで金融政策を策定するうえで考慮に入れるのは、非常に珍しい。オアRBNZ総裁も、ロバートソン財務相からの提案に、住宅価格への考慮で利上げをすれば、雇用喪失と物価及び物価予想の低下につながりかねないとして、当初は難色を示していた。
今回政府から発表された措置には、38億NZドルの住宅供給基金設置のほか、本人居住用以外の住宅売却益の免税に必要な保有期間を5年から10年へ延長、家賃収入と住宅ローン金利の相殺禁止などが含まれる。投資家及び家主の負担が増し、投資用住宅の売却増加や家賃上昇の可能性も指摘されている。さらに、アーダーン首相は、当初は金利のみを返済するインタレスト?オンリーローンや収入に占める返済負担率の制限なども、RBNZと検討中であると明かした。RBNZの住宅価格考慮が発表された2月には、マイナス金利導入の可能性が低下しNZドルは年初来高値を更新。だが、今回の措置は住宅市場の活況が損なわれ、NZ経済全体への足かせになりかねないとの見方が市場では強い。世界的な株式市場の不安定さも相まってNZドル下落につながっている模様だ。NZドルは2月に対米ドルで0.7464米ドル、対円で79円21銭を付けた後、足元0.69米ドル台後半、75円台後半へ下げている。対米ドルで週足一目均衡表基準線0.6987米ドルを明確に下抜けると下落余地は広がろう。対円では、2月の上昇をほぼ吐き出した格好で、100日移動平均線74円76銭で下げ渋れるか注目だ。