日銀金融政策決定会合:円安基調の継続につながるか
2021-03-23
■ 3月の日銀金融政策決定会合で、日本銀行は長期金利上昇に対する警戒姿勢を明確にした
政策点検で注目された決定は、主に3点挙げられる。(1)長期金利の想定変動幅は従来の「±0.10%の倍程度」から「±0.25%程度」まで拡大されたうえ、長期金利の大幅な上昇を抑制するため「連続指値オペ制度」の導入が決定された。(2)上場投資信託(ETF)の買い入れ額は上限を12兆円とし、従来示されていた6兆円のメドを撤廃。また、買入対象のETFを東証株価指数(TOPIX)連動型に限定した。(3)長短金利の引き下げを可能にする目的で、新たに「貸出促進付利制度」の導入を決定した。このうち、(2)については、ETFの買い入れ上限額は維持する一方で、TOPIX連動型のみに買入対象を限定することで、日銀のETF買入が市場へ与える影響を限定させる狙いがあると推測される。また、(3)については、新型コロナオペや貸出支援基金?被災地オペを使った資金供給の残高に応じて、付利金利を設定する制度とされる。この付利金利水準を短期政策金利と連動させることで、金融機関の収益に対する影響を和らげる狙いがあると、日銀は示した。ただし、実際の制度運営と金融市場への影響については、今後の推移を見極める必要があろう。すなわち、(2)と(3)については目先の市場への影響は乏しく、中長期的な視点で判断していく必要があると考える。
今回の政策点検のなかで、筆者が最も注目しているのは(1)である。年初来、為替市場では主要通貨に対して円が全面安となっているが、要因の一つとして日本と主要国の長期金利差拡大が挙げられよう。そうしたなかで、(1)において日銀は、「連続指値オペ制度」の導入目的を「強力に金利の上限を画するため」と明言した。いわば、長期金利上昇への警戒姿勢を明確にしたことになる。そのため、例えば今後米長期金利が上昇し、その影響が波及した場合でも、日本の長期金利上昇は抑制される公算が大きい。つまり、(1)の決定はいずれ日米長期金利差の拡大に寄与するとみられ、ドル円相場の支えになるのではないか。年末にかけて順調に世界景気が回復に向かえば、円安基調が継続する可能性は高いと想定する。
■ 世界景気が順調に回復を続けた場合、主要国との長期金利差拡大が円安基調をもたらすと想定
政策点検で注目された決定は、主に3点挙げられる。(1)長期金利の想定変動幅は従来の「±0.10%の倍程度」から「±0.25%程度」まで拡大されたうえ、長期金利の大幅な上昇を抑制するため「連続指値オペ制度」の導入が決定された。(2)上場投資信託(ETF)の買い入れ額は上限を12兆円とし、従来示されていた6兆円のメドを撤廃。また、買入対象のETFを東証株価指数(TOPIX)連動型に限定した。(3)長短金利の引き下げを可能にする目的で、新たに「貸出促進付利制度」の導入を決定した。このうち、(2)については、ETFの買い入れ上限額は維持する一方で、TOPIX連動型のみに買入対象を限定することで、日銀のETF買入が市場へ与える影響を限定させる狙いがあると推測される。また、(3)については、新型コロナオペや貸出支援基金?被災地オペを使った資金供給の残高に応じて、付利金利を設定する制度とされる。この付利金利水準を短期政策金利と連動させることで、金融機関の収益に対する影響を和らげる狙いがあると、日銀は示した。ただし、実際の制度運営と金融市場への影響については、今後の推移を見極める必要があろう。すなわち、(2)と(3)については目先の市場への影響は乏しく、中長期的な視点で判断していく必要があると考える。
今回の政策点検のなかで、筆者が最も注目しているのは(1)である。年初来、為替市場では主要通貨に対して円が全面安となっているが、要因の一つとして日本と主要国の長期金利差拡大が挙げられよう。そうしたなかで、(1)において日銀は、「連続指値オペ制度」の導入目的を「強力に金利の上限を画するため」と明言した。いわば、長期金利上昇への警戒姿勢を明確にしたことになる。そのため、例えば今後米長期金利が上昇し、その影響が波及した場合でも、日本の長期金利上昇は抑制される公算が大きい。つまり、(1)の決定はいずれ日米長期金利差の拡大に寄与するとみられ、ドル円相場の支えになるのではないか。年末にかけて順調に世界景気が回復に向かえば、円安基調が継続する可能性は高いと想定する。