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NZドルは底堅さが試される展開へ

2021-03-22

■ ニュージーランドの昨年10-12月期の実質GDPは予想外の前期比減少
■ 景気下振れリスクは残るが、中銀と政府の政策対応が下支えとなり、NZドルは底堅さを試そう


   ニュージーランド(NZ)統計局が昨日発表した昨年10-12月期の実質GDPは前期比1.0%減と予想外の減少。過去最大の伸びを記録した前期(同13.9%増、改定値)からの反動減となった。産業別では、建設業(8.7%減)や飲食・小売・宿泊業(5.0%減)の落ち込みが目立ったが、輸送・倉庫業(7.0%増)、芸術・娯楽など(2.9%増)、電気・ガス・水道(1.9%増)、鉱業(1.5%増)は増加が続いた。同国では、新型コロナウイルス感染拡大の阻止に向けて、2月に最大都市オークランドに都市封鎖が再導入され、警戒レベルが1から3へ引き上げられた。ロバートソン財務相は、「政府支援が奏功し、NZ経済は回復力の維持が可能だが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受ける産業を支援し景気回復と再建を進めていく」との姿勢。ただ、外出制限が講じられているほか、国境閉鎖で外国人観光客の減少が懸念されるなか、今年1-3月期も低成長が続き、景気回復の道のりは厳しいとの懸念がくすぶる。

   2月のNZ製造業PMIは53.4と好不況の分かれ目となる50を2カ月連続で越えたが、前月(57.5)からは低下しており、景気の先行きを楽観視できない。一方、同国では2月下旬に新型コロナウイルスのワクチン接種が始まり、月末までに発表される1-3月期のウェストパック消費者信頼感指数や3月のNBNZ企業信頼感指数でマインドの改善が続くかどうか注目される。NZ中銀(RBNZ)は次回4月14日の金融政策委員会で現行政策を据え置くと予想しているが、オアRBNZ総裁は2月の政策決定時、「金融情勢が必要としている状態と整合的でなくなったと判断すれば、利下げの可能性もある」との考えを示しており、市場の警戒感は残りそうだ。

   昨日のNZドルは米連邦公開市場委員会(FOMC)後、対米ドルが0.72米ドル台後半、対円は79円台前半へ上昇。NZの実質GDPは2020年通年で2.9%減と過去最大の落ち込みを記録したが、NZドル相場への影響は限定された模様。ただ、米国株の下落に伴う市場心理の悪化を受けてそれぞれ0.71米ドル台半ば近く、77円台後半へ反落し、FOMC発表前とほぼ同水準に押し戻された。当面のNZドルは対米ドル、対円ともに2月高値(0.7464米ドル、79円21銭)を上値メドにNZドル高の調整が進む可能性もあるが、それぞれ週足一目均衡表の基準線0.6987米ドル、同転換線76円43銭を下値メドに底堅さが試されるとみている。

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