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FOMC:金融政策正常化への警戒はくすぶり続けよう

2021-03-18

■ 現行の金融政策が維持され、金融緩和策の長期化が示されるなど、概ね想定内の内容に

■ 市場には一定の安心感が広がったが、金融政策正常化への警戒はくすぶり続けよう


   16、17日に開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)では政策金利であるフェデラル?ファンド(FF)金利誘導目標は0.00-0.25%、資産購入プログラムのペースは米国債を月間約800億ドル、政府機関債および住宅ローン担保証券(MBS)を同約400億ドルと、金融政策の現状維持が全会一致で決定された。

   公表されたFOMCメンバーの経済見通しでは、2021年10-12月期の実質GDP成長率(前年比)が前回公表時(2020年12月)の4.2%から6.5%へ、個人消費支出(PCE)デフレーター(前年比)1.8%から2.4%へそれぞれ引き上げられたうえ、失業率は5.0%から4.5%へ低下しており、足元の景気見通しが大幅に上方修正された。しかし、PCEデフレーターは2022年10-12月期が1.9%から2.0%へ、2023年10-12月期が2.0%から2.1%といずれも小幅な上方修正にとどまっており、2021年のインフレ加速は一時的との見方が示された。加えて、政策金利見通しでは、2023年までの利上げを見込むメンバーは18名中7名と前回の17名中5名からは増加したが、残る11名は「利上げ開始は2024年以降」との認識が示されたこととなる。また、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は会見で、財政出動や新型コロナウイルスのワクチン普及によって景気回復が想定より早いと述べたうえで、労働市場の回復が遅れていることや物価上昇が一時的との認識を強調し、金融緩和策を長期に維持する姿勢を示した。

   一部では「早期の金融政策正常化が示唆される」「資産インフレに対する言及がみられる」などの警戒もあったが、全体的に概ね想定内の内容となり、市場には一定の安心感が広がった。しかし、FOMCメンバーの見通しによれば、2022-2023年にかけてPCEデフレーターが物価目標である2%程度で推移するうえ、失業率は3%台まで低下する見込みで、それでもゼロ金利政策を維持するとの主張には懐疑的な見方もあるだろう。パウエルFRB議長は資産購入プログラムの減額を開始する際、そのかなり前にガイダンスを示すと言明しているが、金融政策正常化への警戒はくすぶり続ける公算が大きい。

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