米FOMCは金利上昇イベントとなるか
2021-03-16
■ 規制緩和延長の公算が小さくなれば、米長期金利上昇圧力に
16、17日に米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催される。金融政策の変更は見込まれていないが、市場の注目点は米国債利回りに影響を及ぼしうる以下の3点であろう。
最初に、FOMC参加者の経済/政策金利見通しである。昨年12月時点では、実質GDP成長率は2021年が4.2%、2022年が3.2%、個人消費支出(PCE)デフレーター(前年比)はそれぞれ1.8%、1.9%となっている。昨年末と3月に追加経済対策が成立したほか、新型コロナウイルスワクチンの接種の進展により想定を上回るペースで経済が持ち直しているとみられ、成長見通しは上方修正が見込まれる。一方、FOMC参加者は経済活動正常化に伴う物価上昇圧力は一時的との見方を示していることを踏まえれば、物価見通しに関しては2021年が上方修正されたとしても、2022年以降は大きく修正されないとみられる。そうなれば、政策金利見通しに関しては、数人は見通しを引き上げる可能性はあるものの、中央値としては2023年末まで現状維持が見込まれる。こうしたなかで政策金利見通し中央値が2023年内の利上げ開始となった場合、米国債利回りには上昇圧力がかかることとなろう。
次に、米長期金利上昇に対する見解である。米連邦準備理事会(FRB)要人が金融政策に関する発言を控えるブラックアウト期間に入る前に示していたのは、米長期金利の上昇ペースや変動の大きさに対する警戒感であり、水準に関しては静観する、との姿勢であった。FOMC後の記者会見で、パウエルFRB議長がこうした姿勢を変化させるか注目したい。
最後に、新型コロナ感染拡大時に導入した緊急措置の処遇である。FRBは8日に一部を除き、市場や企業、地方政府に対する資金供給支援策を予定通り3月末で終了することを公表した。また、FRBは昨年4月、米銀に家計?企業向け融資を促すため、補完的レバレッジ比率(SLR)の規制を今年3月末まで緩和した。SLR規制に関してFRBが緩和延長に消極的な姿勢を示すことがあれば、米銀が所要自己資本の増加に伴って国債の売却を迫られ、利回りには上昇圧力がかかる恐れがあるため、警戒すべきであろう。