OECD経済見通し:欧米間の景気格差が鮮明に
2021-03-12
■ OECDが発表した2021年世界経済見通しは、ワクチン普及を前提に上方修正が目立つ結果に
一方で、ユーロ圏の上方修正幅は0.3%ポイント(+3.6%から+3.9%)にとどまり、今後の欧米間の景気格差が明確となる見込み。なお、個別国ではフランス(6.0%→5.9%)とイタリア(4.3%→4.1%)が、小幅ながら下方修正された。徐々に緩和されているとはいえ、新型コロナ対策として都市封鎖措置を継続する国の多さが、欧州地域の回復ペースの見通しを緩やかにした要因とOECDは指摘した。また、米国と比べて景気刺激策の規模やワクチンの普及ペースが見劣りする点もあり、欧州復興基金の稼働が待たれよう。
これで年明け以降、国際通貨基金(IMF)、OECD、主要中央銀行など、経済成長率見通しを発表する主要機関では、概ね「ワクチンの普及進展」との前提を表明したことになる。そこで、本稿執筆時点のデータで主要国の新型コロナワクチン接種率*1も確認する。結論としては、米国の接種率が順調に伸びるとみられ、今後も米国資産(株式・債券・通貨)への高い注目度は続くと想定する。主要国で先頭集団にいるのは英国(35.4%)と米国(28.9%)だが、欧州連合(EU、9.9%)はワクチン普及ペースが遅いと言われつつも、世界全体(4.2%)や日本(0.1%)に比べれば進展している。ただ、バイデン政権は5月末までに米国の全成人に対するワクチン接種完了を目標に掲げるなど、欧米間の景気格差が縮小するには至らないだろう。そうした認識は、株式・債券・為替市場などで徐々に浸透していくのではないか。
■ 米国経済の成長率の高さが際立つとの認識が、金融市場全般へ徐々に浸透すると想定する
一方で、ユーロ圏の上方修正幅は0.3%ポイント(+3.6%から+3.9%)にとどまり、今後の欧米間の景気格差が明確となる見込み。なお、個別国ではフランス(6.0%→5.9%)とイタリア(4.3%→4.1%)が、小幅ながら下方修正された。徐々に緩和されているとはいえ、新型コロナ対策として都市封鎖措置を継続する国の多さが、欧州地域の回復ペースの見通しを緩やかにした要因とOECDは指摘した。また、米国と比べて景気刺激策の規模やワクチンの普及ペースが見劣りする点もあり、欧州復興基金の稼働が待たれよう。
これで年明け以降、国際通貨基金(IMF)、OECD、主要中央銀行など、経済成長率見通しを発表する主要機関では、概ね「ワクチンの普及進展」との前提を表明したことになる。そこで、本稿執筆時点のデータで主要国の新型コロナワクチン接種率*1も確認する。結論としては、米国の接種率が順調に伸びるとみられ、今後も米国資産(株式・債券・通貨)への高い注目度は続くと想定する。主要国で先頭集団にいるのは英国(35.4%)と米国(28.9%)だが、欧州連合(EU、9.9%)はワクチン普及ペースが遅いと言われつつも、世界全体(4.2%)や日本(0.1%)に比べれば進展している。ただ、バイデン政権は5月末までに米国の全成人に対するワクチン接種完了を目標に掲げるなど、欧米間の景気格差が縮小するには至らないだろう。そうした認識は、株式・債券・為替市場などで徐々に浸透していくのではないか。