2021年3月第2週 (8~12日の相場展望)
2021-03-08
米国長期金利の高止まりが株価への重しとなり、グローバルで繋がっている世界の株価は調整局面となった。世界の株価と連動性が比較的少ない中国の上海総合指数も2月のチャート上では非常に長い上髭が出現しており、上値の重くなる形状で世界株の下落を先取りしたような動きとなった。株価下落の引き金となった米国長期金利の上昇は、先週1.4-1.5%台での推移で高止まり傾向。それによるドル買いもやや加速している。ドル円は抵抗水準が多い108円台に乗せ、対してユーロドルは昨年6月からの上昇トレンドラインを下回っており、更なる下落の可能性を示唆する形となっている。先週のパウエルFRB総裁の発言で、インフレに関しては「一時的なインフレ上昇には忍耐強く臨む」「金融市場の特定のレベルを判断しない」「最近の債券市場ボラティリティは私の注意を引いた」などとコメントし、インフレへの懸念度合いが市場の期待した内容ほどではなかったことで、株価の軟調さが継続することとなった。それより目立ったのは、雇用に関しての不安なコメントであった。雇用への不安感から低金利継続の考えは読み取れるが、市場自体がリスクオフのマインド傾向であったため、それを覆すまでには至らなかったということであろう。要は過熱感のある市場が調整局面に入ったというのが実際の相場付きだろう。
注目されていた米国雇用統計は、非農業部門雇用者数が予想の20万人を大きく上回り37.9万人と大幅な伸びを見せた。その結果を受けて、米国10年債利回りは一時1.61%台まで上昇したが、そのレベルでは債券を買う動きが強く、引けにかけては1.5%台半まで押されて終了している。利回りが予想ほど上昇しなかったため、米国株式は堅調推移となっている。ドルは発表後買いが強かった動きであったが、その後はほぼ予想前の水準で終わっており行ってこいの展開となった。しかしドル円は108円台、ユーロドルは1.19の前半を維持しており、ドルの強さは保たれたまま。ドル円は雇用統計後に高値108.64を付けて未だ堅調推移が継続中。108.00を底に下値を固める展開が続きそう。ただ長期下落トレンドが109円台付近にあるため、108-109円は上昇するとしてもややゆっくりしたペースに戻ると思われる。短期的には、週足ストキャスティクスやRSIのレベルは2018年の3月安値104.63から同年9月にかけて113円台までの上昇相場での高レベルと並んでおり、テクニカルからは過熱感も見られている。上昇基調は強いが、米国債利回りが落ち着けば一息入り、もみ合いに転じてもおかしくはない。今週は107.30を下値に、109.00付近のレンジで強めの推移をする公算だと予想している。108円をしっかり割れると調整色が強まり、直近高値の108.64を上に抜けると109円トライの可能性が大きいだろう。ここにきてドル相場を中心にやや変動率が高まっている。全体からの視野でみるとドル高に見えるが、やや円安の動きも相まっており、ドル円が大きく下がらない限りクロス円の上昇は継続しそうだ。
注目されていた米国雇用統計は、非農業部門雇用者数が予想の20万人を大きく上回り37.9万人と大幅な伸びを見せた。その結果を受けて、米国10年債利回りは一時1.61%台まで上昇したが、そのレベルでは債券を買う動きが強く、引けにかけては1.5%台半まで押されて終了している。利回りが予想ほど上昇しなかったため、米国株式は堅調推移となっている。ドルは発表後買いが強かった動きであったが、その後はほぼ予想前の水準で終わっており行ってこいの展開となった。しかしドル円は108円台、ユーロドルは1.19の前半を維持しており、ドルの強さは保たれたまま。ドル円は雇用統計後に高値108.64を付けて未だ堅調推移が継続中。108.00を底に下値を固める展開が続きそう。ただ長期下落トレンドが109円台付近にあるため、108-109円は上昇するとしてもややゆっくりしたペースに戻ると思われる。短期的には、週足ストキャスティクスやRSIのレベルは2018年の3月安値104.63から同年9月にかけて113円台までの上昇相場での高レベルと並んでおり、テクニカルからは過熱感も見られている。上昇基調は強いが、米国債利回りが落ち着けば一息入り、もみ合いに転じてもおかしくはない。今週は107.30を下値に、109.00付近のレンジで強めの推移をする公算だと予想している。108円をしっかり割れると調整色が強まり、直近高値の108.64を上に抜けると109円トライの可能性が大きいだろう。ここにきてドル相場を中心にやや変動率が高まっている。全体からの視野でみるとドル高に見えるが、やや円安の動きも相まっており、ドル円が大きく下がらない限りクロス円の上昇は継続しそうだ。
ドル円週足チャート


ドル高傾向のため、ユーロドルやポンドドルなどの欧州通貨も下落している。その中でもポンドドルは、チャートの形状から見るとここ4か月ほどの上昇トレンドの中で、高安のレベルに沿って綺麗なチャネルが出来上がっている。先週金曜日はチャネルの下限目前まで下げたが、やや持ち直して終了。今週はこのチャネルを逸脱し、下のストップハンティングを行い下げの加速になるのか、または下限レベルで切り返すのか注目の通貨ペアとして挙げておく。英国中銀の間では、新型コロナからの景気回復へ下向きリスクがあり、それに強く対抗する意見も幾つか出ており、マイナス金利への言及もあることで、テクニカルの影響も含めて一時的な下落を警戒する必要があるだろう。英国では鉱工業生産と製造業生産、また貿易収支の発表がある程度で大きな経済指標発表はないことで、英国中銀高官からの発言には気を付けておきたいところ。
ポンドドル日足チャート


米国の新型コロナ経済対策は、議会上院で1.9兆円の法案として可決された。国民一人当たり1400ドルの直接給付金が中心だ。今後は下院での可決後に14日に成立する見通しとなった。週明けのアジア市場はこの結果を受けて、株価の上昇で始まっている。ただ今週末は日経平均先物オプションのメジャーSQ算出日であるから、一波乱の可能性は残る。日経平均は指数の寄与度が歪であるため、外国人にとっては仕掛けやすい市場であり、日系証券会社があまり積極的な売買を行わない先物取引では、彼らのやりたい放題が続いている。今週の株式相場のボラティリティー(変動率)の高まりは継続すると考える。それに加え、中国株式、欧米株式市場の変動率も大きいと予想しており、リスクの観点から外国為替市場に及ぼす影響が如何ほどであるのか警戒してみおきたい。
今週米国では経済指標の発表が少なく、相場への影響があるとすればミシガン大学消費者態度指数と新規失業保険申請件数くらい。欧州では、EUのGDP確報値とECB政策金利理事会の開催がある。ラガルドECB総裁の米国金利上昇から波及した欧州金利上昇に対してのコメントがあるのか注目だ。またユーロドルのレベルから上昇トレンドを大きく下回るとストップハンティングが予想され、その場合は下落加速もありそうだ。
今週米国では経済指標の発表が少なく、相場への影響があるとすればミシガン大学消費者態度指数と新規失業保険申請件数くらい。欧州では、EUのGDP確報値とECB政策金利理事会の開催がある。ラガルドECB総裁の米国金利上昇から波及した欧州金利上昇に対してのコメントがあるのか注目だ。またユーロドルのレベルから上昇トレンドを大きく下回るとストップハンティングが予想され、その場合は下落加速もありそうだ。