主要国PMI:先行指標の景気回復「期待」は高いが…
2021-03-04
■ 2月の主要国PMIからは、「製造業が景気回復を牽引する期待感」の高まりが確認できる
2月の製造業では先進国と新興国で、概ね良好な結果が示された。先進国では、米国のISMとユーロ圏のPMIがいずれも約3年ぶりの高水準となったほか、欧州主要国のPMIも50を超えた。新興国でも、中国、ブラジル、インド、ロシア、南アフリカなどで50超を記録。一方で、サービス業(=非製造業)は都市封鎖措置の影響もあって、強弱まちまちな結果が続く。米国はISMとPMIがともに50超だったが、欧州ではユーロ圏全体や主要国のPMIは50未満に沈んでいる。新興国でも、中国(51.5、民間統計)やインド(55.3)、ロシア(52.2)などが50超だったのに対して、ブラジル(47.1)などが50未満にとどまった。
製造業が好調を維持する背景は、都市封鎖措置を導入する国でも製造業は稼働し続けていることが指摘できる。各国政府は景気減速を最小限にとどめるため、都市封鎖措置のなかでも、製造業を制限対象から外す国が増加している。こうした流れは継続が見込まれ、製造業の底堅さは維持される見込み。しかしながら、製造業の景況感は改善しているが、本格的な景気回復につながると判断するのは時期尚早と考える。なぜなら、各国の製造業PMIで内訳を確認すると、強弱材料が混在しているためだ。例えば、多くの国で新規受注指数の上昇が目立つが、これは直近の好調さが新型コロナウイルス禍で減少した需要の回復にとどまる可能性を示唆する。加えて、都市封鎖措置による供給網の混乱に伴う在庫指数の上昇や、原材料価格の高騰を受けた仕入価格指数の上昇が確認できる国もあり、楽観的になれない要素が製造業PMIの上昇に寄与しているケースもある。今後、景気が本格的な回復に向かうかは、ひとまずワクチンの普及遅延解消と接種率の上昇とともにサービス業PMIが回復するかに注目したい。ワクチン接種を開始した国が増加傾向にあるのは好材料だが、ワクチン供給面での不安定感は依然残るため、緩やかな景気回復の流れにとどまるのではないか。
■ ただし、先行指標が示す期待感が景気の本格回復につながるとの判断は時期尚早だろう
本稿では経済指標のなかでも先行指標とされる、購買担当者景気指数(PMI)の動向を確認する。主要国ではPMIが代表的な指標だが、米国ではPMIと同種の指標としてISM景況感指数にも注目が集まる。本稿執筆時点では、主要国で2月分の結果が概ね揃ったが、「製造業が景気回復を牽引する期待感」が高まっている傾向が確認された。なお、当該指標では好不況の境目が50とされ、50超では好況、50未満では不況と解釈される。
2月の製造業では先進国と新興国で、概ね良好な結果が示された。先進国では、米国のISMとユーロ圏のPMIがいずれも約3年ぶりの高水準となったほか、欧州主要国のPMIも50を超えた。新興国でも、中国、ブラジル、インド、ロシア、南アフリカなどで50超を記録。一方で、サービス業(=非製造業)は都市封鎖措置の影響もあって、強弱まちまちな結果が続く。米国はISMとPMIがともに50超だったが、欧州ではユーロ圏全体や主要国のPMIは50未満に沈んでいる。新興国でも、中国(51.5、民間統計)やインド(55.3)、ロシア(52.2)などが50超だったのに対して、ブラジル(47.1)などが50未満にとどまった。
製造業が好調を維持する背景は、都市封鎖措置を導入する国でも製造業は稼働し続けていることが指摘できる。各国政府は景気減速を最小限にとどめるため、都市封鎖措置のなかでも、製造業を制限対象から外す国が増加している。こうした流れは継続が見込まれ、製造業の底堅さは維持される見込み。しかしながら、製造業の景況感は改善しているが、本格的な景気回復につながると判断するのは時期尚早と考える。なぜなら、各国の製造業PMIで内訳を確認すると、強弱材料が混在しているためだ。例えば、多くの国で新規受注指数の上昇が目立つが、これは直近の好調さが新型コロナウイルス禍で減少した需要の回復にとどまる可能性を示唆する。加えて、都市封鎖措置による供給網の混乱に伴う在庫指数の上昇や、原材料価格の高騰を受けた仕入価格指数の上昇が確認できる国もあり、楽観的になれない要素が製造業PMIの上昇に寄与しているケースもある。今後、景気が本格的な回復に向かうかは、ひとまずワクチンの普及遅延解消と接種率の上昇とともにサービス業PMIが回復するかに注目したい。ワクチン接種を開始した国が増加傾向にあるのは好材料だが、ワクチン供給面での不安定感は依然残るため、緩やかな景気回復の流れにとどまるのではないか。