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豪中銀は政策据え置きを決定

2021-03-02

■ 豪中銀は3月理事会で、見通しは依然より明るいとしつつも、緩和政策の維持を決定

■ 豪中銀は豪ドルがレンジ上限にあると指摘、2月高値0.80米ドルでは上値の抵抗が強いとみる


   豪中銀(RBA)は3月2日開催の理事会で、政策金利と3年国債利回り目標を0.1%で据え置きとし、債券購入プログラムなどについても、市場予想通り、現状維持を決定した。声明文では、新型コロナウイルスによる落ち込みからの豪経済の回復は、想定以上に力強いと指摘。ワクチン接種開始で見通しは2、3カ月前より明るく、国際貿易が回復、資源価格は上昇しているが、回復は依然として新型コロナの状況と巨額の財政?金融支援次第であるとの認識を示した。RBAは「物価が2-3%の目標レンジに継続的に収まらない限り、利上げは行わない。実現するためには賃金の伸びが現状より高くなる必要がある」とのガイダンスを維持し、早くても2024年まで物価と雇用の目標は達成できないとみている、とした。昨年10-12月期の豪消費者物価指数(CPI)は前年比0.9%上昇、賃金指数は同1.4%上昇と、物価はRBA目標レンジの下限も遠く、賃金は2四半期連続で過去最低の伸びにとどまる。2月の金融政策報告で公表されたRBAの中心シナリオでは、2021年は成長率が3.5%へ回復し、失業率は年末6.0%へ改善、CPI上昇率は新型コロナ禍で下げた昨年との比較で今年半ばに3%へいったん加速するが、年末は1.5%にとどまる見通しだ。
   RBAは米長期金利上昇について、新型コロナワクチンと米追加経済対策への期待に加え、中長期的には物価が米連邦準備理事会(FRB)の目標2%に近づくとの予想を反映しており、同様の動きが豪州でも起きていると分析。2月26日に豪3年国債利回りは0.18%台後半と、利回り目標の引き下げを示唆した2018年10月理事会前の水準へ上昇(債券は売り)。RBAは臨時の国債買い入れオペを実施し、足元は0.13%台後半へ落ち着いている。ただ、1月の豪失業率は6.4%とRBA見通し(年央6.5%)以上に改善するなど、物価?金利が上昇する兆しは出ており、RBAはいずれ金融政策を調整せざるを得ないとの市場の思惑はくすぶる。RBAはまた、豪ドルが近年のレンジの上限にあると指摘しており、2月25日高値である節目の0.80米ドルではしばらく上値の抵抗が強くなろう。
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