主要産油国の減産動向に注目
2021-03-01
■ 米シェールオイルの生産量は減少が見込まれ、OPECプラスの動向がより重要に
■ 原油価格の動向がインフレ期待を通じて金融市場に影響を及ぼしうる
米シェールオイルの生産はテキサス州を襲った猛烈な寒波の影響が一巡したあとも回復ペースは鈍いとの見方が浮上している。米シェールオイルの生産量に関して、OPECは2月の月報で2020年の日量約730万バレルから716万バレルに減少するとの見方を示し、米エネルギー情報局(EIA)は754万バレルから720万バレルへの減少を見込んでいる。シェール企業は債務圧縮を進める必要に迫られているほか、バイデン政権の環境重視の姿勢を受けて開発投資が絞り込まれており、原油価格上昇にもかかわらず生産拡大余地が限定的となる可能性がある。こうしたなか、原油生産の調整弁として、石油輸出国機構(OPEC)加盟国とロシアなど非加盟産油国で構成されるOPECプラスの重要性が高まっている。
OPECプラスは3月4日に会合を行う。複数の関係者によれば、原油価格の回復を受け、4月から減産規模をさらに縮小することを検討する一方で、新型コロナウイルスの感染状況が再び悪化する恐れを踏まえ、現状維持を示唆する声もある模様だ。産油量の多いサウジアラビアとロシアは原油生産に対するスタンスが正反対にあり、OPECプラスの方向性に対する不透明要因となっている。原油価格が約1年ぶりの水準に持ち直しているものの、サウジアラビアは各国が生産をおおむね維持することを望んでいることを示唆したと伝わっており、2月と3月に実施した自主的な追加減産を継続する可能性がある。一方で、ロシアは引き続き生産増加を望んでいる模様で、サウジアラビアの主張は原油価格の押し上げに、ロシアの主張は押し下げに寄与することとなる。
現在、金融市場では米国債利回りの動向に神経質に反応する展開が続いている。原油高により低下基調にある米インフレ期待が下支えされれば、実質金利のマイナス幅が維持されることを通じて株価の安定に寄与する可能性がある。OPECプラスの結果とそれに対する原油価格の反応には注目しておきたい。
■ 原油価格の動向がインフレ期待を通じて金融市場に影響を及ぼしうる
米シェールオイルの生産はテキサス州を襲った猛烈な寒波の影響が一巡したあとも回復ペースは鈍いとの見方が浮上している。米シェールオイルの生産量に関して、OPECは2月の月報で2020年の日量約730万バレルから716万バレルに減少するとの見方を示し、米エネルギー情報局(EIA)は754万バレルから720万バレルへの減少を見込んでいる。シェール企業は債務圧縮を進める必要に迫られているほか、バイデン政権の環境重視の姿勢を受けて開発投資が絞り込まれており、原油価格上昇にもかかわらず生産拡大余地が限定的となる可能性がある。こうしたなか、原油生産の調整弁として、石油輸出国機構(OPEC)加盟国とロシアなど非加盟産油国で構成されるOPECプラスの重要性が高まっている。
OPECプラスは3月4日に会合を行う。複数の関係者によれば、原油価格の回復を受け、4月から減産規模をさらに縮小することを検討する一方で、新型コロナウイルスの感染状況が再び悪化する恐れを踏まえ、現状維持を示唆する声もある模様だ。産油量の多いサウジアラビアとロシアは原油生産に対するスタンスが正反対にあり、OPECプラスの方向性に対する不透明要因となっている。原油価格が約1年ぶりの水準に持ち直しているものの、サウジアラビアは各国が生産をおおむね維持することを望んでいることを示唆したと伝わっており、2月と3月に実施した自主的な追加減産を継続する可能性がある。一方で、ロシアは引き続き生産増加を望んでいる模様で、サウジアラビアの主張は原油価格の押し上げに、ロシアの主張は押し下げに寄与することとなる。
現在、金融市場では米国債利回りの動向に神経質に反応する展開が続いている。原油高により低下基調にある米インフレ期待が下支えされれば、実質金利のマイナス幅が維持されることを通じて株価の安定に寄与する可能性がある。OPECプラスの結果とそれに対する原油価格の反応には注目しておきたい。