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パウエルFRB議長は米長期金利の上昇に懸念を示さず

2021-02-24

■ パウエルFRB議長の議会証言は、特に目新しい材料はなく、従前通りのハト派姿勢が維持された

■ ただ、米長期金利の上昇に懸念は示しておらず、株価の変動性が高まるとみられる


    パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は23日、半期に一度の上院銀行委員会での証言を行った。景気見通しについては、新型コロナウイルスワクチンの接種進展により今年終盤にかけて一段と改善する可能性を示唆しつつも、「景気回復は引き続き一様ではなく、完全と呼べる状況には程遠い。先行きは極めて不確実である。」として、慎重な見方が示された。また、同議長は物価上昇について、向こう数カ月は(昨年に急低下したことによる)ベース効果、年後半は支出の大幅な持ち直し、これらによって上振れする可能性を述べた一方、「一時的な財政支援策やそれに伴う支出拡大によりインフレに関する力学が変化するとは想定しづらい」と指摘。目先の物価上昇は長続きせず、「安定的な物価目標の達成には時間がかかる」と強調した。従前からの見解に大きな変化はみられず、ハト派姿勢が維持されたといえよう。
   これを受けて、昨日の米国市場では、急ピッチな上昇が続いていた長期金利が低下し、大きく売りが先行していた株式相場は引けにかけて買い戻しが加速する展開となった。一時的とはいえこの先のインフレ高進、3月にも成立が期待される追加経済対策や新型コロナワクチンの接種進展による年後半の景気回復加速、これらの可能性を踏まえたうえでもハト派姿勢が堅持されたことで、金融緩和策縮小への警戒が後退したとみられる。
   しかし、気掛かりなのは、このところの米長期金利の上昇についての見方である。パウエルFRB議長はこの点について、「経済正常化に向けた市場の信頼の高まりを反映」と述べるにとどまり、特段の懸念を示さなかった。つまり、景気回復が進む状況において、長期金利の上昇を容認したと捉えることもできよう。当行は、年末にかけて株高基調が維持されるとみており、その原動力となるのは企業業績の改善?拡大と考えている。よって、現時点で見通しを変える必要はないだろうが、長期金利上昇を受けて株価の変動性が高まるとみられるうえ、そうした状況が長く続けば株価の上昇余地が縮小する可能性もあるだろう。
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