東アジア地域は堅調と見込むが、今後は選別が必要に
2021-02-22
■ 東アジア地域の堅調さは、「中国の五カ年計画」「高性能半導体需要」を巡る動きに支えられよう
■ ただし、自身の見通しを効率的に反映させるには、投資先を慎重に検討する必要がある
2021年が始まって1カ月以上が経過したが、堅調な新興国株式において、中国をはじめとした東アジア地域が株価上昇を牽引する流れが戻ってきている。
東アジア新興国を巡っては、ハイテク関連企業や半導体需要に関する動向が当面の好材料となる見込み。昨年10月に中国共産党が公表した「第14次五カ年計画」では、2025年にかけて科学技術開発を特に重視する姿勢が示された。同計画は、今年3月に開催予定の全国人民代表大会で正式に承認される予定だ。具体的には、人工知能(AI)や半導体の研究強化、産業のデジタル化?高度化などが列挙された。加えて、同計画の推進にあたっては「産業のコメ」と称される高性能半導体が必要不可欠だが、中国国内で製造される半導体は世界のトップ企業と比べて5年程度、技術面で遅れているとされる。半導体受託生産の大手企業は台湾、韓国などの東アジア地域に存在しているが、当該分野での早期のキャッチアップは難しく、中国は現時点で大部分を輸入に頼るしかない。これも、中国が米中対立の激化を望まない大きな理由の一つである。今年に入り、世界中で半導体の供給不足が自動車生産の足かせとなり続けており、高性能半導体への旺盛な需要は当面続く可能性が高いとみられる。
しかしながら、具体的な投資先は慎重に検討する必要がある。例えば中国株。中国株の代表的な指数は上海総合指数が挙げられるが、2019年末以降の騰落率(2月18日時点)は+20.6%であり、MSCI新興国株式指数(米ドル建て)の+27.9%にも見劣りする。対照的な例を一つ挙げると、中国の大手ハイテク関連企業で構成される「MSCI China Tech 100 Index」(米ドル建て)は、同じ期間に+155.2%と新型コロナ禍以降の相場上昇を取り込めている。こうした指数間のパフォーマンス格差は、セクター別の構成比率の違いに原因がある。上海総合指数では25%が金融セクターで構成される一方、情報技術セクターの比率は9%程度にとどまる。同じ国の株式へ投資する際でも、投資対象の違いからパフォーマンスが大きく変わる事態は容易に起こる。また、中国では春節を挟んだ主要経済指標が3月に公表予定だが、直近では個人消費が減速する懸念もくすぶり、昨年来の中国一強が揺らぐ恐れもある。堅調が見込まれる東アジア地域への投資に際しても、今後は国やセクターなどの選別が求められよう。
■ ただし、自身の見通しを効率的に反映させるには、投資先を慎重に検討する必要がある
東アジア新興国を巡っては、ハイテク関連企業や半導体需要に関する動向が当面の好材料となる見込み。昨年10月に中国共産党が公表した「第14次五カ年計画」では、2025年にかけて科学技術開発を特に重視する姿勢が示された。同計画は、今年3月に開催予定の全国人民代表大会で正式に承認される予定だ。具体的には、人工知能(AI)や半導体の研究強化、産業のデジタル化?高度化などが列挙された。加えて、同計画の推進にあたっては「産業のコメ」と称される高性能半導体が必要不可欠だが、中国国内で製造される半導体は世界のトップ企業と比べて5年程度、技術面で遅れているとされる。半導体受託生産の大手企業は台湾、韓国などの東アジア地域に存在しているが、当該分野での早期のキャッチアップは難しく、中国は現時点で大部分を輸入に頼るしかない。これも、中国が米中対立の激化を望まない大きな理由の一つである。今年に入り、世界中で半導体の供給不足が自動車生産の足かせとなり続けており、高性能半導体への旺盛な需要は当面続く可能性が高いとみられる。
しかしながら、具体的な投資先は慎重に検討する必要がある。例えば中国株。中国株の代表的な指数は上海総合指数が挙げられるが、2019年末以降の騰落率(2月18日時点)は+20.6%であり、MSCI新興国株式指数(米ドル建て)の+27.9%にも見劣りする。対照的な例を一つ挙げると、中国の大手ハイテク関連企業で構成される「MSCI China Tech 100 Index」(米ドル建て)は、同じ期間に+155.2%と新型コロナ禍以降の相場上昇を取り込めている。こうした指数間のパフォーマンス格差は、セクター別の構成比率の違いに原因がある。上海総合指数では25%が金融セクターで構成される一方、情報技術セクターの比率は9%程度にとどまる。同じ国の株式へ投資する際でも、投資対象の違いからパフォーマンスが大きく変わる事態は容易に起こる。また、中国では春節を挟んだ主要経済指標が3月に公表予定だが、直近では個人消費が減速する懸念もくすぶり、昨年来の中国一強が揺らぐ恐れもある。堅調が見込まれる東アジア地域への投資に際しても、今後は国やセクターなどの選別が求められよう。