2021年2月第四週(22~26日の相場展望)
2021-02-22
相場は全体的に米国の長期金利上昇を睨みながらの取引が継続している。先週発表された米国の各経済指標も今年に入っての好調さを維持している。ただ木曜日に発表された新規失業保険件数では保険受給者の伸びは、76.5万人の予想が結果として86.1万人と約10万人の乖離があったために、それまで堅調推移だった米国長期金利が下落し、株価の売り圧力ともなった。そうは言っても、卸売物価指数の伸びが予想を上回っており、鉱工業生産や小売指数の結果も良く、先行きのインフレ懸念が台頭していることからドルは堅調さを保っている。ドルは直近ではリスクの大きさより米国長期金利の方が連動性は強まっているところ。

*この図ではクリック表示ができませんのでご了承ください

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米国消費者物価は緩やかな上昇基調だが、卸売物価は1.3%とここ数年でも最も大きな上昇率となった。卸売物価が消費財に転嫁されるとなると今後の消費者物価も上がってくる公算だ。1月の消費者物価は1.4%であるが、2%台となるとコロナ禍ではあってもワクチンの接種状況次第ではFRBも先行きの物価に先手を打つ可能性がある。それを相場は織り込みに行っているわけだ。中央銀行のメンバーは、コロナ禍からの経済への悪影響はしばらく続くと考えている発言が未だに多い。中央銀行のパウエル総裁は、直近の発言で、雇用に関して次のように述べている。
〇「強固な労働市場への到達はほど遠い」
〇「1月の米失業率、実際は10%近くの可能性」
〇「労働市場の改善は過去数カ月で失速」
〇「完全雇用に復帰し、維持するのは容易でない」
〇「短期的には家計と企業支援が必要」
〇「FEDは雇用最大化の目標達成へあらゆる措置を講じる強い決意」
またインフレに関しては、
●「インフレの大幅な上昇または持続的な上昇を期待しない」
●「実際のインフレを見極めたい」
●「政策変更を検討する前に実際のインフレ上昇を確認する必要がある」
●「インフレの上昇に対処するためのツールがある」
●「世界的なインフレ低下基調にコロナ危機の抑制圧力が加わった」
コロナに関しては、
〇「ウイルスにも関わらず、経済の大部分はうまく機能した」
〇「ダウンサイドリスクはワクチンの普及の遅れ」
〇「先行きの不確実性は高い」
〇「コロナ危機をやり過ごすまで金融政策支援の撤回考えず」
昨年末同様、今年に入ってから雇用への言及が多くみられており、雇用の情勢に関して大きな不安があるように読み取れる。インフレに対しては、インフレ上昇へのコントロールは可能であり対処が出来るという意味合いの発言となっている。またコロナに関しては、ワクチン普及の遅れを懸念、コロナ危機をやり過ごすまで金融政策支援の撤回を考えないということ。2%超えを数か月継続するような気になる物価指数の伸びがあるまでは、低金利の政策を修正するような発言はしないと考える。裏にはイエレン財務長官が雇用環境に対して、更なる不安感を募らせている発言をしているため、以前上下関係にあった信頼感の深い2人であり、意見は汲み入れるはず。更に今以上の財政赤字をもたらす政策を打つことがリスクであるため、財政政策と金融政策を巧みにコントロールしながらの運営は継続していくことと思われる。相場にとっては、それが金余りからの変動率の高まりに繋がっていく。ビットコインに米国の投信組み入れが増加しており、金の長期保有組もほぼ保有高を維持しており、短期筋によって突発的に大きく動く相場が市場ごとに現われるのは致し方ないことなのであろう。
米国の経済指標で大きいと思われる傾向のもう一つの要素が設備稼働率である。この指標もコロナによって昨年4月より急激に落ち込み、半導体や自動車や関連部品などの生産がストップし、工場が稼働できなかったことが大きい。コロナ前までは77%前後で安定して推移していた稼働率が4月には60%前まで落ち込んだ。ただじりじりと稼働率は戻しており、今年に入ってからは75%台まで回復している。FRBは設備稼働率を経済の需給の緩み加減を見るときに注目しており、この数値が正常化の範囲内に入ったことは、金利政策にも影響を及ぼす可能性も考えられる。 現在、巣ごもり需要でゲーム機器などの半導体が不足しており、それが自動車業界などにも盈虚を与え、需要の回復に間に合っていない。今後は逼迫している半導体の生産がフル稼働となると稼働率の一時的な急上昇の可能性があるため注意が必要となっているだろう。
ポンド化の主因はドル安によるものが大きいようで、先週末にも直近の高値をポンドドル、ポンド円で達成している。新型コロナウイルスのワクチン接種がすでに1500万人を超えるなど、他国よりコロナ対策が進展していることを評価する声もあるようだ。それに加えて、ジョンソン首相はロックダウン(都市封鎖)を段階的に解除し、7月に経済を正常化させることを検討していて先行期待もある。ポンド円は148円の抵抗をこなしながら上昇する勢いとなっているが、2019年の高値が148円台で2度ほど跳ね返されていることから、このレベルをしっかり越えていくのかどうか見極めていきたいところ。ここをこなしていけば、2018年9月の149.71が次なるターゲットとなりそう。やや過熱感もあるので、今週中に148円台を上抜けしない場合は、145円台まで反落の可能性は考えておきたい。

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米国消費者物価は緩やかな上昇基調だが、卸売物価は1.3%とここ数年でも最も大きな上昇率となった。卸売物価が消費財に転嫁されるとなると今後の消費者物価も上がってくる公算だ。1月の消費者物価は1.4%であるが、2%台となるとコロナ禍ではあってもワクチンの接種状況次第ではFRBも先行きの物価に先手を打つ可能性がある。それを相場は織り込みに行っているわけだ。中央銀行のメンバーは、コロナ禍からの経済への悪影響はしばらく続くと考えている発言が未だに多い。中央銀行のパウエル総裁は、直近の発言で、雇用に関して次のように述べている。
〇「強固な労働市場への到達はほど遠い」
〇「1月の米失業率、実際は10%近くの可能性」
〇「労働市場の改善は過去数カ月で失速」
〇「完全雇用に復帰し、維持するのは容易でない」
〇「短期的には家計と企業支援が必要」
〇「FEDは雇用最大化の目標達成へあらゆる措置を講じる強い決意」
またインフレに関しては、
●「インフレの大幅な上昇または持続的な上昇を期待しない」
●「実際のインフレを見極めたい」
●「政策変更を検討する前に実際のインフレ上昇を確認する必要がある」
●「インフレの上昇に対処するためのツールがある」
●「世界的なインフレ低下基調にコロナ危機の抑制圧力が加わった」
コロナに関しては、
〇「ウイルスにも関わらず、経済の大部分はうまく機能した」
〇「ダウンサイドリスクはワクチンの普及の遅れ」
〇「先行きの不確実性は高い」
〇「コロナ危機をやり過ごすまで金融政策支援の撤回考えず」
昨年末同様、今年に入ってから雇用への言及が多くみられており、雇用の情勢に関して大きな不安があるように読み取れる。インフレに対しては、インフレ上昇へのコントロールは可能であり対処が出来るという意味合いの発言となっている。またコロナに関しては、ワクチン普及の遅れを懸念、コロナ危機をやり過ごすまで金融政策支援の撤回を考えないということ。2%超えを数か月継続するような気になる物価指数の伸びがあるまでは、低金利の政策を修正するような発言はしないと考える。裏にはイエレン財務長官が雇用環境に対して、更なる不安感を募らせている発言をしているため、以前上下関係にあった信頼感の深い2人であり、意見は汲み入れるはず。更に今以上の財政赤字をもたらす政策を打つことがリスクであるため、財政政策と金融政策を巧みにコントロールしながらの運営は継続していくことと思われる。相場にとっては、それが金余りからの変動率の高まりに繋がっていく。ビットコインに米国の投信組み入れが増加しており、金の長期保有組もほぼ保有高を維持しており、短期筋によって突発的に大きく動く相場が市場ごとに現われるのは致し方ないことなのであろう。
米国の経済指標で大きいと思われる傾向のもう一つの要素が設備稼働率である。この指標もコロナによって昨年4月より急激に落ち込み、半導体や自動車や関連部品などの生産がストップし、工場が稼働できなかったことが大きい。コロナ前までは77%前後で安定して推移していた稼働率が4月には60%前まで落ち込んだ。ただじりじりと稼働率は戻しており、今年に入ってからは75%台まで回復している。FRBは設備稼働率を経済の需給の緩み加減を見るときに注目しており、この数値が正常化の範囲内に入ったことは、金利政策にも影響を及ぼす可能性も考えられる。 現在、巣ごもり需要でゲーム機器などの半導体が不足しており、それが自動車業界などにも盈虚を与え、需要の回復に間に合っていない。今後は逼迫している半導体の生産がフル稼働となると稼働率の一時的な急上昇の可能性があるため注意が必要となっているだろう。
ポンド化の主因はドル安によるものが大きいようで、先週末にも直近の高値をポンドドル、ポンド円で達成している。新型コロナウイルスのワクチン接種がすでに1500万人を超えるなど、他国よりコロナ対策が進展していることを評価する声もあるようだ。それに加えて、ジョンソン首相はロックダウン(都市封鎖)を段階的に解除し、7月に経済を正常化させることを検討していて先行期待もある。ポンド円は148円の抵抗をこなしながら上昇する勢いとなっているが、2019年の高値が148円台で2度ほど跳ね返されていることから、このレベルをしっかり越えていくのかどうか見極めていきたいところ。ここをこなしていけば、2018年9月の149.71が次なるターゲットとなりそう。やや過熱感もあるので、今週中に148円台を上抜けしない場合は、145円台まで反落の可能性は考えておきたい。
ポンド円日足チャート


先週の欧米でのPMI担当者景況感指数は、全般に製造業が予想を上回りサービス業はまちまちの結果だった。今週もドイツのIFO企業景況感、GFK消費者信頼感指数や欧州の経済信頼感指数、また米国では消費者信頼感指数(コンファレンスボード)など先週に引き続き景況感指数で現状を示す指標発表が多い予定である。先週の米国週間新規失業保険申請件数の悪化で株価やドルも下落したため、注目は欠かせない。米国政府は3月14日には1.9兆ドルのコロナ経済対策を議決する予定が発表されており、決議内容にも引き続き注目であろう。