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FOMC議事要旨 物価上昇は一時的との認識を示す

2021-02-19

■ FOMC参加者は財政政策や新型コロナワクチン接種進展による景気回復を予想する

■ 今後、物価は上昇が見込まれるが、一時的であり、目標達成には時間がかかるとの認識を示す


    2月17日、米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(1月26、27日開催分)が公表された。1月FOMCでは、最大雇用と物価安定の目標に向けて「さらなる顕著な進展があるまで」債券購入策を続けることが確認され、参加者全員一致で政策据え置きを決定した。ただ、発表された声明文における「経済活動や雇用の回復ペースはこの数カ月、鈍化している」との現状認識は市場を驚かせた。
   公表された議事要旨によると、新型コロナウイルスの感染再拡大が観光など一部のセクターに強く影響しているが、財政政策やワクチン接種の進展が経済活動の押し上げにつながると、ほとんどの参加者が予想している。ただ、そうであっても経済活動と雇用は現状、最大雇用の水準にはほど遠く、到達にも時間がかかると認識されている。物価については、昨年12月のPCEデフレーターは前年比1.3%上昇と目標(平均2%)には遠いものの、「比較的近い将来に」供給網上の制約が存在もしくは近く生じる商品の物価が上昇する恐れがあると指摘する参加者が複数名存在し、他の参加者は経済活動が正常化するなか「一時的に」特定の物価が上昇する可能性を懸念した。物価への見方は、「依然として参加者のほとんどがリスクは下振れ方向とみている」ものの、2020年よりバランスがとれてきた、との記述もみられた。
   ダラス地区連銀カプラン総裁が1月に「債券購入策の適切な縮小時期について年内にも議論できるようになるのではないか」と述べたが、FOMC議事要旨では緩和政策の出口を議論した形跡は確認できなかった。一方、ワクチン接種進展などによる新型コロナウイルスの収束状況次第であるが、雇用改善には時間がかかること、物価は今後上昇が見込まれているものの一時的であること、など米連邦準備制度(FRB)の認識が強調された。当面は現状の金融緩和政策が維持されることが確認され、株式市場には安心感が広がるが、ドル円については上昇一服となる可能性があろう。
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