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米企業決算発表が一巡し、追加経済対策の行方に注目

2021-02-16

■ 米企業利益見通しの改善基調は継続する見込み

■ 市場の関心は各論ごとに議論が進む追加経済対策の行方に移るだろう


   米主要企業の昨年10-12月期決算発表が峠を越えた。金融情報会社リフィニティブの集計によれば、12日までにS&P500株価指数構成企業のうち372社が10-12月期決算発表を終え、82%の企業の一株当たり利益(EPS)が事前予想を上回ったほか、前年比3.4%増と、年始時点(同10.3%減)から大きく上振れて増加に転じる見込みだ。また、今後のEPS増加率に関しても、1-3月期が年始時点の同16.0%から21.1%に、4-6月期が同45.7%から50.1%に、7-9月期が同14.1%から17.2%にそれぞれ見通しが上方修正されている。10-12月期は同22.5%増から12.1%増に下方修正されたものの、年間では2020年が15.3%減から12.0%減に上方修正、2021年が23.3%増に据え置かれ、EPSの改善が想定より前倒しで始まると見込まれている。

   決算発表を概ね通過し、次に注目すべきは追加経済対策の行方であろう。2月5日に上下両院で予算決議案が可決され、財政調整制度の活用により民主党単独で追加経済対策を成立させることが可能となった。民主党内での調整が必要とはいえ、共和党との交渉より与しやすいとの見方から、追加経済対策の規模は想定より大きく、また早期に成立するとの期待が高まることとなった。こうしたなか、上院ではトランプ前大統領に対する弾劾裁判が結審し、遅れている閣僚人事の承認プロセスとともに、追加経済対策の協議が本格化する見込みである。民主党のペロシ下院議長は11日、追加経済対策案を月内に取りまとめ、3月中旬までに成立させる考えを示した。下院歳入委員会は11日、1.9兆ドルの追加経済対策の中核で、1400ドルの個人向け現金給付を柱とする5935億ドル規模の家計支援策を可決した。追加経済対策は各論ごとに議論が進むとみられ、その動向を注視したい。なお、失業保険の対象外である自営業などに対する給付(Pandemic Unemployment Assistance:PUA)と、通常の失業保険受給が満了したものに対する13週間の給付延長(Pandemic Emergency Unemployment Compensation:PEUC)のふたつの失業保険給付プログラムは3月15日週に期限切れとなる。ペロシ議長はこれを意識していると思われ、追加経済対策案成立のタイムリミットとして認識しておきたい。
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