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2021年2月第三週(15~19日の相場展望)

2021-02-15

先週は、週を通してドルが軟調、逆にユーロドルは抵抗レベルだった1.2090を上に抜けて上昇した。ドル円は105円を割れて104円台前半まで下げたがやや持ち直しており、ドル相場はレンジの公算が強まっている様子。背景にあるのが直近連動性の高い米国長期金利であり、その上昇も止まりもみ合いとなっている。先週は米国債3,10,30年の入札があったがまちまちで、どちらかというと長期に連れ需要が減退している傾向となった。年初からドル買い傾向にあったため、ドル売り方向のポジション整理が大きく入ったと見られているが、大きな新規ポジション建ては見当たらない。日本のSQも波乱なく終わり、来週は中国の旧正月入りとアジア圏の休日や今週月曜日は米国市場も休みということで、明日の火曜日の欧米市場以降の材料待ちといったところか。

ドル相場には一旦売りが入ったものの、大きく崩れる傾向とはなっておらず、今後ドル中心の相場付きから、各国の通貨が中心となってくると予想している。ドルの展開が読みづらいのは、イエレン財務長官の存在かと思われ、市場の憶測であるバイデン大統領=ドル安へ一石を投じており、 ドルは強いという表現はなくとも、「アメリカ経済の長期的な強靭さと金融システムの安定性維持が、アメリカやそれ以外の国々にとって利益となる」との発言がドル安を抑えた結果となった。米国輸出企業側や財政赤字の側面からはドル安が良いが、輸入側やインフレの面からはドル高で輸入物価を抑えていく方が良いので、大きく動かなければ問題なしといったところだろうか。FRBのメンバー達からは、コロナ禍から立ち直る経済環境となるまでにまだ時間が掛かると考えているコメントがほとんどで、低金利を長期に継続することは決まっておりワクチンやコロナ感染者の減少があっても予断は許さないというスタンスは変わっていない。現在はワクチン接種率とその影響などが市場の注目であるが、長引けば長引くほど株価の上昇に過熱感が生じよう。金余りで先日急上昇した銀相場やビットコインなどのリスクオフ市場へもどんどん資金が流れ込んでいる。マネーの行き場行き場が無くなってからが本格的なバブルとなる可能性があるため、各国中央銀行の低金利がもたらした相場とも考えられ、中銀メンバーのコメントから動向とその変化を注意深く探っていくことは、相場把握に重要なファクターとなってくる。

ユーロドルは軽めの上値抵抗レベル1.2090を抜けて堅調となったが、一目均衡表の雲の中での推移が続いており、15日月曜日時点では雲の上限である1.2230付近を抵抗として、下値は1.1975と上昇トレンドライン上の1.1920付近がサポートレベルとなる。徐々にレンジとなっていく公算が強く、今週はこれらの中での推移となるだろうが、どちらかというと上昇トレンドラインを下回らない程度で緩やかな上昇を予想している。イベントとしては、引き続き1.9兆ドルの米国コロナ対策費が確定するのかどうかが注目点となる。

ユーロドル日足チャート


またドル円も上昇トレンドラインにサポートされて止まったような形で底堅い動きとなっている。本日105円台に乗せたことで、先週の下落は一時的の可能性が浮上。また上昇トレンドラインが104.70付近まで上昇してくるので、その水準を下回らないような推移となれば緩やかな上昇を想定している。また直近はポンドの上昇が目立っており、英国はリスクを取りながら世界でいち早くコロナワクチンの接種を開始したことで、コロナ感染者数が激減し始めていることを背景としてる。またポンドドルチャートからも、2007年からの長期下落トレンドラインを上にブレークし、昨年末からはシカゴ先物市場ではポンドの買い越し基調が強まりつつあることで買い安心感につながっている。結果としてポンド円上昇という動きが継続。クロス円全般は株価の堅調さも相まってリスクオンのクロス円高がサポートともなり、今後の上値トライが気になるところ。日足からはRSIが70越えだが、ボリンジャーバンドの上限ラインからは大きく上にはみ出すこともなく、ラインに沿って上昇していて、また下限とのバンド幅が安定していることで、やや過熱感はあり一時的な調整はあるかもしれないが、それほど気にするほどではないだろう。2019年の高値が147.95にあって一応の上値の目標レベルであるが、148円台からはさすがに上昇が鈍化してくるだろう。

ポンド円日足チャート


今週は、中国が旧正月で今週ほぼ休場となり、月曜日は米国が金融市場全般で休場となる。 注目点は引き続き米国の新型コロナ経済対策費が1.9兆円でまとまるのか、減額修正されるのか、議論がなかなか進まない状況である。欧米では週後半にPMI、前半にドイツ、欧州のZEW景況感指数などの発表があり、ロックダウン中の欧米諸国の景況感が示される。ここのところ落ち着いてきた米国長期金利推移だが、FOMC議事要旨からの影響があるのかどうかも見ておきたい。世界的に株価の高値更新が継続しており、上昇加速やテクニカルや需給面からの高値波乱も警戒しておきたい。

(今週の経済指標)
欧米各国  サービス業及び製造業PMI担当者景気指数
米     フィラデルフィア連銀製造業指数、FOMC議事要旨
欧、独   ZEW景況感指数
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