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ドル高の意味合い

2021-02-03

■ 年初来のドル高は米長期金利上昇を背景に日米金利差拡大による円安が進行

■ ドル円は心理的節目となる105円が底値になれば、107円台前半を上値メドに反発継続へ

   ドル円は2月1日のNY市場で11週ぶりに105円台を回復した。ドル高?円安に弾みが付いたきっかけは、10年債利回りが1%を超えるなど、米長期金利の上昇が影響したと判断される。こうしたなか、昨年12月の米個人消費支出デフレーターのうち変動の大きい食品とエネルギーを除いたコア指数は前期比0.3%上昇、また同10-12月期の雇用コスト指数も同0.7%上昇へ伸びを高めており、物価上昇圧力は高まりつつある。同時期の米実質GDP(速報値)は前期比年率4.0%増と景気回復ペースは鈍化したが、今後もマイナス成長が予想されるユーロ圏に比べれば、足元のドル高?ユーロ安は納得のいく展開だ。

   米株式市場は主要株価指数のボラティリティが高まるなか、投資家の不安心理を表すとされるVIX指数が一時37台まで急騰した。だが、年初来のドル高?円安地合いは継続中。複数の主要通貨に対するドルの価値を示すドルインデックスとVIX指数の相関係数は、新型コロナウイルスの感染拡大が顕在化した2020年以降は+0.40と弱いながらも正の相関性があったが、昨年11月の米大統領選挙後では-0.01、2016年以降の過去5年間でも+0.05と相関性はない。これらに鑑みれば、足元のドル高はリスクオフによるものとは言い切れない。
   バイデン政権による大規模な景気刺激策に伴う財政拡大や国債増発は懸念されるが、米連邦準備理事会(FRB)が年内に超金融緩和の出口戦略を検討する可能性にも留意すべきかもしれない。昨日、イエレン米財務長官と麻生財務相は電話会談で、大胆な経済政策による危機からの早期脱却が最優先との認識を共有、為替政策については両国財務大臣の間で緊密な議論を行うことが肝要との見解が示された。「為替レートは市場で決定されるべき」とするイエレン財務長官の発言を踏まえれば、足元のドル高は自然な流れだろうか。ドル円は心理的節目となる105円が底値となれば、昨年3月高値から今年1月安値までの下落幅に対する38.2%戻し106円06銭や半値戻し107円14銭が上値メドになるとみているが、先ずは200日移動平均線105円60銭付近で上値の抵抗を受けると予想する。

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