IMFの世界経済見通しは楽観的?
2021-01-28
■ IMFが示した世界経済見通し(WEO)は、「限定された楽観論」にとどまると筆者は解釈する
一方で、国別の見通しでは回復ペースや時期が一律でない状況が示された。2021年は米中両国が世界経済を支える傾向が一層強まるが、2022年は欧州など他の地域も徐々に回復基調へ復帰する見通しとの整理になる。2021年の成長率見通しでは、堅調な米国(+3.1%から+5.1%へ)と中国(+8.2%から+8.1%へ)に対して、ユーロ圏(+5.2%から+4.2%へ)や英国(+5.9%から+4.5%へ)は、合意なきブレグジットという下振れリスクが回避されたにも関わらず、下方修正幅が大きくなった。対して、2022年の成長率見通しでは、米国(+2.9%から+2.5%へ)や中国(+5.8%から+5.6%へ)の下方修正に対して、ユーロ圏(+3.1%から+3.6%へ)や英国(+3.2%から+5.0%へ)は上方修正された。そのため、今回IMFが示した成長率見通しの修正は、あくまで新型コロナウイルスの感染拡大状況や、それに伴う各国政府による対応の違いが景気回復時期の違いとなるに過ぎず、先行きの景気回復見通し自体は前回までと同様に維持したと認識している。
なお、IMFが今回の見通し策定の前提として示したのは、以下の3点だった。すなわち、(1)新型コロナワクチンは、先進国と一部新興国で2021年夏頃に、大半の国で2022年末までに利用可能となる、(2)主要中央銀行は2022年末まで現行の政策金利を維持する、(3)新型コロナウイルスの感染再拡大とそれに伴う経済制限措置により、2021年前半は成長の勢いが鈍化する、である。また、IMF独自のシナリオ分析では、上振れと下振れのシナリオはともに新型コロナワクチンの普及次第の面が強調されている。最後に筆者自身の解釈を加えると、今回のIMF見通しはベースシナリオ策定における前提が大きく限定された。そのため、依然世界景気を見通すうえで高い不確実性を伴う状況は続く、「限定された楽観論」を示すにとどまったとみている。新型コロナ禍次第の状況は、当面の間続きそうだ。
■ 国別で回復ペースは異なるものの、2022年にかけて景気回復への期待の高さがうかがえる
一方で、国別の見通しでは回復ペースや時期が一律でない状況が示された。2021年は米中両国が世界経済を支える傾向が一層強まるが、2022年は欧州など他の地域も徐々に回復基調へ復帰する見通しとの整理になる。2021年の成長率見通しでは、堅調な米国(+3.1%から+5.1%へ)と中国(+8.2%から+8.1%へ)に対して、ユーロ圏(+5.2%から+4.2%へ)や英国(+5.9%から+4.5%へ)は、合意なきブレグジットという下振れリスクが回避されたにも関わらず、下方修正幅が大きくなった。対して、2022年の成長率見通しでは、米国(+2.9%から+2.5%へ)や中国(+5.8%から+5.6%へ)の下方修正に対して、ユーロ圏(+3.1%から+3.6%へ)や英国(+3.2%から+5.0%へ)は上方修正された。そのため、今回IMFが示した成長率見通しの修正は、あくまで新型コロナウイルスの感染拡大状況や、それに伴う各国政府による対応の違いが景気回復時期の違いとなるに過ぎず、先行きの景気回復見通し自体は前回までと同様に維持したと認識している。
なお、IMFが今回の見通し策定の前提として示したのは、以下の3点だった。すなわち、(1)新型コロナワクチンは、先進国と一部新興国で2021年夏頃に、大半の国で2022年末までに利用可能となる、(2)主要中央銀行は2022年末まで現行の政策金利を維持する、(3)新型コロナウイルスの感染再拡大とそれに伴う経済制限措置により、2021年前半は成長の勢いが鈍化する、である。また、IMF独自のシナリオ分析では、上振れと下振れのシナリオはともに新型コロナワクチンの普及次第の面が強調されている。最後に筆者自身の解釈を加えると、今回のIMF見通しはベースシナリオ策定における前提が大きく限定された。そのため、依然世界景気を見通すうえで高い不確実性を伴う状況は続く、「限定された楽観論」を示すにとどまったとみている。新型コロナ禍次第の状況は、当面の間続きそうだ。