追加金融緩和期待は後退へ
2021-01-25
■ 日本、ユーロ圏では、中長期的には金融政策正常化が視野に入りつつある
日銀は、「貸出増加を支援するための資金供給」、「成長基盤強化を支援するための資金供給」の期限をそれぞれ1年延長。また、「経済/金融情勢の展望」を公表し、2021、22年度の実質GDP成長率見通しを昨年10月時点から引き上げた。ただ、消費者物価指数(CPI)上昇率は微修正にとどまり、2022年度まで2%の物価目標を大幅に下回る状況が続くと見通している。日銀は、2%の物価目標実現のため、現在の金融政策を点検し、3月の会合にて結果を公表することを表明しており、次回会合の注目度は高まろう。一部報道で、現行0.2%程度である長期金利の誘導目標からの乖離幅の拡大を検討していることが伝えられている。国債買い入れを長期間継続するための措置と考えられるが、「効果的で持続可能な金融緩和実現のため」という趣旨に沿えば、株式上場投資信託(ETF)買い入れの実質的縮小などが検討対象となる可能性も否定できない。今回の点検により、金融引き締めなど大胆な政策転換が打ち出される可能性は低いものの、将来的な金融緩和の出口は徐々に意識されることになろう。
ECBは、昨年12月にパンデミック緊急購入プログラム(PEPP)の5000億ユーロの限度額引き上げと2022年3月までの延長、条件付き長期リファイナンスオペ第3弾(TLTRO III)の同年6月までの延長を決定しており、政策据え置きは概ね予想通りの対応だった。ただ、PEPPについて、良好な金融環境が保たれる場合は限度額上限まで利用しない旨が声明文に明示された。また、欧州で新型コロナウイルス感染が広がるなかでも、ワクチン普及後の景気回復見通しは堅持しており、状況が変わらない限り、追加金融緩和への障壁は相応に高いだろう。
2021年は、新型コロナワクチンが普及し、経済の正常化が期待される年であるが、それに伴い、金融政策の正常化も次第に現実味を帯び始めるだろう。金融緩和の長期化を前提に価格形成されている金融資産にも少なからず影響が及ぶことが想定される。
■ 現実味を帯びれば、金融緩和を前提に価格形成される金融資産にも影響が及ぶだろう
日銀は、「貸出増加を支援するための資金供給」、「成長基盤強化を支援するための資金供給」の期限をそれぞれ1年延長。また、「経済/金融情勢の展望」を公表し、2021、22年度の実質GDP成長率見通しを昨年10月時点から引き上げた。ただ、消費者物価指数(CPI)上昇率は微修正にとどまり、2022年度まで2%の物価目標を大幅に下回る状況が続くと見通している。日銀は、2%の物価目標実現のため、現在の金融政策を点検し、3月の会合にて結果を公表することを表明しており、次回会合の注目度は高まろう。一部報道で、現行0.2%程度である長期金利の誘導目標からの乖離幅の拡大を検討していることが伝えられている。国債買い入れを長期間継続するための措置と考えられるが、「効果的で持続可能な金融緩和実現のため」という趣旨に沿えば、株式上場投資信託(ETF)買い入れの実質的縮小などが検討対象となる可能性も否定できない。今回の点検により、金融引き締めなど大胆な政策転換が打ち出される可能性は低いものの、将来的な金融緩和の出口は徐々に意識されることになろう。
ECBは、昨年12月にパンデミック緊急購入プログラム(PEPP)の5000億ユーロの限度額引き上げと2022年3月までの延長、条件付き長期リファイナンスオペ第3弾(TLTRO III)の同年6月までの延長を決定しており、政策据え置きは概ね予想通りの対応だった。ただ、PEPPについて、良好な金融環境が保たれる場合は限度額上限まで利用しない旨が声明文に明示された。また、欧州で新型コロナウイルス感染が広がるなかでも、ワクチン普及後の景気回復見通しは堅持しており、状況が変わらない限り、追加金融緩和への障壁は相応に高いだろう。
2021年は、新型コロナワクチンが普及し、経済の正常化が期待される年であるが、それに伴い、金融政策の正常化も次第に現実味を帯び始めるだろう。金融緩和の長期化を前提に価格形成されている金融資産にも少なからず影響が及ぶことが想定される。