米国債利回り上昇に対する正しい警戒の仕方
2021-01-19
■ 米株価と米国債利回りは平時には同じ方向に動く傾向
一方、こうした関係が崩れる時には株式市場の局面変化が示唆される。1999-2001年、2006-2007年、2018年には同相関係数がマイナスの領域となり、株価はその後、下落局面に至った。いずれの場合も、米国債利回りが持続的な上昇から低下に転じるなかでも株価が上昇基調を保った結果、相関係数がマイナス圏に落ち込むという経緯をたどっている。景気回復期待を背景に米国債利回りが上昇する局面では企業業績も改善傾向が見込まれ、株価には上昇圧力がかかりやすい。しかしながら、景気の先行き不透明感を背景に米国債利回りが上昇から低下に転じた後も継続する株高は、景気や企業業績からの乖離を維持できずにいずれ下落局面を迎えることとなる。
なお、2013-2014年にも同相関係数がマイナスとなった局面があったが、当時のバーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長が発した金融緩和の巻き戻しシグナルに対して投資家が敏感に反応し、米国債利回りが大きく上下動するなかで観測されたものであり、株価は概ね上昇基調を維持した。現在の市場では、米国債利回りの上昇による株価下落リスクが警戒されており、実現した場合には一時的に同相関係数が低下する可能性があることは認識しておくべきだろう。しかし、企業業績見通しの改善傾向が維持され、同相関係数がプラス圏を保つ限り、米国債利回りと株価はともに上昇に向かうことが見込まれる。過去と比べて株価の割高感が強いことは確かで、株価の下落幅が大きくなることが懸念されるが、その場合でも冷静な投資判断が求められよう。
■ 両者の相関性が崩れた場合には株式市場の局面変化が示唆されるが、冷静な判断が必要
一方、こうした関係が崩れる時には株式市場の局面変化が示唆される。1999-2001年、2006-2007年、2018年には同相関係数がマイナスの領域となり、株価はその後、下落局面に至った。いずれの場合も、米国債利回りが持続的な上昇から低下に転じるなかでも株価が上昇基調を保った結果、相関係数がマイナス圏に落ち込むという経緯をたどっている。景気回復期待を背景に米国債利回りが上昇する局面では企業業績も改善傾向が見込まれ、株価には上昇圧力がかかりやすい。しかしながら、景気の先行き不透明感を背景に米国債利回りが上昇から低下に転じた後も継続する株高は、景気や企業業績からの乖離を維持できずにいずれ下落局面を迎えることとなる。
なお、2013-2014年にも同相関係数がマイナスとなった局面があったが、当時のバーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長が発した金融緩和の巻き戻しシグナルに対して投資家が敏感に反応し、米国債利回りが大きく上下動するなかで観測されたものであり、株価は概ね上昇基調を維持した。現在の市場では、米国債利回りの上昇による株価下落リスクが警戒されており、実現した場合には一時的に同相関係数が低下する可能性があることは認識しておくべきだろう。しかし、企業業績見通しの改善傾向が維持され、同相関係数がプラス圏を保つ限り、米国債利回りと株価はともに上昇に向かうことが見込まれる。過去と比べて株価の割高感が強いことは確かで、株価の下落幅が大きくなることが懸念されるが、その場合でも冷静な投資判断が求められよう。