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ポンドの騰勢

2021-01-15

■ 英政府は厳格な都市封鎖を再導入、追加支援策で企業の事業継続と雇用維持に努める

■ 足元は長期ポンド安の揺り戻しに過ぎないが、リスク選好の動きが続けば底堅さを試そう


   英中銀(BOE)は政策金利を過去最低の0.1%、債券買い入れ額を8950億ポンドに維持しているが、マイナス金利導入の是非を検討中。金融政策委員会(MPC)のテンレイロ委員はマイナス0.75%を下回る水準まで利下げが可能だと指摘、資産購入策拡充を上回る景気押し上げ効果があるとの考えだ。ただ、ハルデーン理事やラムスデン副総裁は資産購入策の拡充が景気刺激策として最適な手段になるとの見解を示す。こうしたなか、ベイリー総裁は12日、「マイナス金利は成長の押し上げへの直接的措置ではなく、銀行に打撃を与えかねない」と指摘。マイナス金利導入観測が後退しポンド相場の追い風となっている。 
   一方、英政府は感染力の高い新型コロナウイルス変異種の感染拡大抑制に腐心。南部イングランド全域では5日に3度目の都市封鎖が始まり、仕事や必需品の買い出しなど合理的理由を除く外出禁止や罰則などが実施された。また、46億ポンドの追加支援策も発表。支援対象となる小売りや娯楽業界を対象に最大9000ポンドの一時金を給付し、事業継続と雇用維持に努めるほか、対象産業以外の企業向けに5億9400万ポンドの助成基金を充てる。一方、医療当局は米バイオ医薬大手のワクチンを承認し1000万回分の追加購入に合意、春の接種開始を目指し、ワクチン接種のための大型センターが7カ所開設される予定だ。ジョンソン英首相は13日、ワクチンの接種体制を強化するため、24時間対応の体制を早急に整えるとしている。
   1月以降もポンド相場の騰勢は衰えず、ポンドドルは1.37ドル台、ポンド円は142円台を回復し2018年5月、2020年9月以来の高値を付ける展開となっている。ただ、欧州連合(EU)離脱による景気下振れへの懸念はくすぶる。市場予想では、英国で本日発表される昨年11月の実質GDPは前月比5.7%減と昨年4月以来のマイナス成長に戻る見通し。BOEは一段の景気刺激策を講じるのかどうか、MPC内での意見集約が図れるかどうか、2月4日の政策決定は注目されよう。足元のポンド高は長期にわたり続いたポンド安の揺り戻しに過ぎないとみているが、リスク選好の動きを受けた円安?ドル安地合いが継続すれば、ポンドドルは200週移動平均線1.2996ドルで底堅く、ポンド円は同様に142円ちょうど付近で明確な上抜けを試す展開か。
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