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10月第4週の相場展望(10/19~24)

2020-10-19

ここ数週間、相場全体は、米国大統領選挙という大きな注目イベントが近づくに連れ徐々に変動率が低下している傾向と見て取れる。2~3週より前は、イベント後の波乱を予想してか株価オプションの取り組みも多く、コール(買う権利)よりプット(売る権利)の方が多いながらもプレミアムも高水準となっていたが、それも低下してきた。売買権利の取り組みが多い時は先行きの変動率の高まりを予想しているが、直近では大きく低下している。数週間前までは、バイデン候補が大統領になる予想の下で株価の下落を想定した向きが多かったが、ここにきて課税を増やす戦略だけではなく、経済へ新対策やテコ入れといったものも考えているという方向性が見えてきたため、高水準の過剰流動性相場が支える構図は変わらないとして、株価は適温水準でもみ合いに徹している。季節的な米国投資信託の解約も少なく、長期投資スタンスでは買い保有で臨んでいるファンドが多いようだ。一部のヘッジファンドは、ナスダック銘柄を大きくショートさせていたため、大統領選挙を前にしての買戻しでここ数週間のナスダック上昇のサポート役となっていた感がある。株価は保有し、金のヘッジ商品で逆ポジションをとってリスクには備えている向きが増えているのではないだろうか。そのため、リスクオン気味で株価が上昇している最中であっても1800ドル半ばで底堅い展開が続いている。

前回4年前大統領選挙の前後では、クリントンとトランプ大統領の争いで急激な変動があった。両者の支持率は、今回以上に差が開いていたにも関わらず、トランプ大統領が選挙を制したこと。またトランプ大統領は勝利のために郵便投票を盛んに訴えているのが気に掛かる。もし郵便投票が行われて混戦となると、郵便投票の正当性や開票結果を巡って法廷闘争に持ち込まれる可能性がある。その場合、最高裁が関与するかが焦点だが、保守派判事が選挙前に任命されれば最高裁判事は保守派6人、リベラル派3人となり、トランプ再選に追い風となりそうだ。10月15日に米議会上院の司法委員会は、トランプ大統領が連邦最高裁判所判事に指名したエイミー・バレット氏の公聴会を終えた。承認を阻止したい野党・民主党の追求は決め手を欠き、政権と与党・共和党は11月の大統領選前の最高裁判事承認に向けて前進した構図となっている。12~15日の公聴会を踏まえ、司法委は22日(木)にも承認の是非を採決する。これとは別に本会議でも採決を行い、上院(定数100)のうち過半数が賛成すると、バレット氏は最高裁判事に承認される。このまま承認となれば、投票後の波乱も想定しておかなければならないだろう。

欧州では、英国とEUの貿易協定の先行きを巡る不安と新型コロナウイルス感染者の急増の影響で、世界的にも比較的強かった欧州株にも利食いが大きく出ており軟調推移となっている。コロナウイルス感染者増に対応する様々な封鎖措置の拡大に経済の先行きに対する不安が高まっているようだ。比較的緩やかな相場つきの米国と欧州のバタつきの差が通貨にも表れており、先週全般はドル高傾向となった。欧州各国の消費者物価指数がここ数か月マイナス傾向にあることもドルに支援となっている様子で、欧州金利も低迷している。新型コロナウイルス感染者増加の背景下で、デフレーションの声も出ており、それに対応するラガルドECB総裁の発言に緩和的なものが出ると、比較的高いと警戒されているユーロ売りの材料になるだろう。その場合、通商交渉好転の可能性が出てくると、ユーロポンドの動きが大きくなる可能性も想定しておきたい。

欧米のイベント等がクローズアップされている間に、中国本土の平均株価がじりじりと上昇し堅調推移を保っている。当社の中国A株指数は、今年7月7日の高値の16226まで約100ポイントに迫っており、今週の高値更新に期待が持てそう。中国は、新型コロナウイルスからの経済回復が早く、徐々に経済活動の幅が広がってきたことや香港本土のデモ関連の動きが収まっていることなど、また先日の国慶節の大型連休での人の移動が戻っており、国内旅行者も急増したことで景気回復の期待が上昇しているようだ。ただ輸出の面では、世界の先進国の新型コロナウイルス感染者増がなかなか食い止められていないことで未だ低迷しており、気がかりな点は残っている。15400レベルは一目均衡表の雲上限と75日移動平均線にサポートされており、底堅い感じで、25日移動平均線が15800ポイント付近で上向きとなっており、最初のサポートレベルと考える。

中国A株指数-日足チャート



米国では、22日に大統領候補討論会の2回目が開催される予定。一回目の激しいやり取りの後、トランプ大統領が新型コロナウイルスに感染し、その影響で先週は取りやめとなった討論会の後だけに今回は注目度が大きいだろう。また第3四半期の企業決算が本格化する週に入っており、特にテスラやネットフリックスなどは注目で、個別企業とはいえ結果次第では全体の平均株価に影響を及ぼしそうだ。

今週の注目イベント
米 大統領候補討論会(2回目)
  主要企業決算発表
  10月PMI景況感指数
  9月中宅、建設関連指数
  地区連銀経済報告(ベージュブック)
欧 EUと英国の通商交渉
  10月PMI景況感指数
  ラガルドECB総裁発言
英 EUと英国の通商交渉
  10月PMI景況感指数
中 7-9月GDP 日 9月貿易統計
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