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10月第2週の相場展望(10/5-9)

2020-10-05

経済指標の発表が比較的多かった先週は、結果がまちまちで予想から回避することもなく小動きで終始した。その中でも動意がみせたのがポンド通貨であった。英国はEUとの通商公式会議が28日開始され、様々な思惑の中で推移した。また英国中銀によるマイナス金利の導入を完全否定することはなかったが、導入の変更は当面ないという報道で、それまで売られていたポンドは買戻しとなり、ポンドドルはまず1.29の前半まで上昇した。同中銀のラムスデン副総裁から「私としては、現時点で政策金利は依然0.1%が実質的な下限とみている」という発言があった。しかし通商会議交渉の最中、英議会下院は29日夜に欧州連合(EU)との離脱協定の一部を無効にする法案を与党・保守党などの賛成多数で可決した。EUは英国に対して、離脱協定違反として法的措置を開始する方向で動いているという報道があったことで、今度は150ポイントほどの大きな下落となったが、双方が妥協の可能性を模索しているとの報道で再度急反転上昇となり、変動率が高まっている。

ジョンソン英首相が設定したEUとの貿易合意期限が10月15日に迫っており、今週はポンド相場の動きに注目したい。英国の一部協定無効法案可決に対するEUサイドの動きが一つの大きな壁となる。テクニカルからは上値の抵抗が1.3000と9月高値付近であり、下値は1.2805付近にサポートレベルがあり、現在は75日移動平均線を挟んでの動きとなっている。離脱協定修正は、北アイルランドの国境問題の件であり、歴史的にトラブルの多い国境問題が表面化することで、交渉解決までに複雑さは増していくように感じられる。新型コロナウイルス感染者の増加も相まって、英国中銀のコメント等にも目を配る必要があり、元々米国の中銀と連携が深いことで、超低金利金融緩和には積極的に推進していくだろう。EUとの交渉次第では、長期的な波動から、今年3月以降上昇基調へ戻ったかに思われるポンド相場が再度下落へと落ちていく可能性も否定できないことで、しばらくは目の離せない通貨のひとつだと考えている。

ポンドドル日足チャート


また豪ドルへに関しても、今週の豪中銀による金融政策イベントで動意する可能性がありそうだ。最近になって、豪中央銀行からの利下げの可能性発言が度々行われており、今回の金利調整で何らかの動きが出る思惑を織り込んで動いているような豪ドル相場には注目している。週末時には、一目均衡表の雲の中で推移しており8月末の高値からの調整局面が継続しており、ポンドドルと同様に75日移動平均線付近の動きで小動きとなっている。イベント後に動意がみられるのか見ておきたい。上昇するにも、日柄ではもう少し調整機関が必要だと思っているが、政策金利の据え置きと共に緩和的な発言がない場合は急上昇の可能性も残っている。上値では、0.7220~30付近に25日移動平均線と一目均衡表の雲上限レベルが抵抗レベルとなりそうだ。今週中の可能性は低いが、逆に雲の下限を下に抜けると、下落がやや加速する局面も出てくるだろう。そうなると下値めどは一応、0.6964のサポートレベルとなりそうだ。

豪ドル日足チャート


先週金曜日には、トランプ大統領が新型コロナウイルス陽性と診断され、株価が急落した。今日の時点では退院予定報道もあって相場の戻しをみているが、後遺症が残りやすく、体調が完全に回復するまでは時間が掛る場合があって、来月予定されている大統領選挙が延期の可能性という報道もされており、相場への不安感が高まっている。また米国の雇用統計は、非農業者部門の結果がやや悪化したことで若干ドル売りに振れ、株価も若干の下落で反応したが影響は限定的だった。しかし、予想通りに雇用が伸びていないことが明確となっており、今後の雇用関連指数には引き続き注目していきたい。

今週は欧米で非製造業(サービス業など)のPMI発表がある。コロナ第二次感染の広がりで、予想以下の数値を直近で出しているサービス業への景況感数値は気になるところ。 また7日には、米国副大統領候補の討論会が行われる。先週の大統領候補のTV討論会ほどではないが一応頭に置いておきたい。また米国新規失業保険申請件数が悪化となると、先週の雇用統計に続いて雇用に関しての不安感が高まる可能性があり、その場合はドル安へと傾斜していきそうだ。

(今週の重要イベント)
米国   9月ISM非製造業景気指数
     パウエルFRB総裁発言
     FOMC議事要旨
     新規失業保険申請件数
     副大統領候補討論会
欧州諸国  9月非製造業PMI(確定値)
豪国    金融政策金利会合
中国    CaixinサービスPMI
日米豪印  外相会談(中国への対応会議)
  
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