News

9月第2週の相場展望

2020-09-07

金融の相場全般では、先週一週間ではドル高、株安傾向となった。先週末のジャクソンホール会議でのパウエルFRB総裁のスピーチを挟んで相場付きが変化したようだ。ユーロは下げ、金価格もやや下落、原油も下げており、一言で表現すると「リスクオフのドル高株安」=「一時的な利食い」が適当な言い方であろうか。新型コロナ発生後は、FRBの長期金融緩和期待でドル安が継続しており、ユーロドルは高値に近い水準で推移となっていたが、欧州の複数の高官から「ユーロ高が継続すれば、ユーロ圏の輸出を抑制するほか、国内物価を押し下げ、さらなる金融刺激策を導入する必要に迫られることを案じている。」という発言等があって、1.19台から1.18台へと下落した。高値が1.2台を少し上回ったところでの達成感の売りが出ていたところにこの発言となると、ロング勢はポジションをやや落としてくるのは致し方ないところ。また最近にしては大きな幅の下落であったのは、発言以外に元々シカゴ先物市場での買い持ちが歴史的高水準だったのが背景にありそうで、売りが嵩んだ様子となっている(8月第4週のレポート参照)。週末に発表された最新のポジション(1日時点)でも、ユーロロングは19万枚を超えている。需給からは下落材料に敏感になりやすく、中身次第で売り圧力が大きくなりやすい環境下ではある。今回のけん制発言は第一回目ということで、今後の高官からの発言には注意が必要となってくる。

その発言だが、今週は10日木曜日にECB金融政策委員会が開催され、ラガルド総裁の記者会見が予定されている。金融政策自体は、前日新型コロナウィルスへの復興基金の実施で様子を見ていくことになりそうで金利は据え置きとなりそうで、それ自体は材料とはなりにくいが、記者会見でユーロ通貨への言及に注目が集まる。

シカゴ先物市場ユーロポジション高推移



先週木曜日には、堅調推移で高値更新を続けていたナスダック指数が一日で約800ドル急落して肝を冷やしたが、中身を見ていくと、前週から人気銘柄のアップルとテスラの株式分割で上昇に加速がつき、他のハイテク銘柄も売買代金が跳ね上がって上昇していたところだっただけに、利食いが中心の相場付きだったと思われる。。金曜日も大きく下落で始まったが、3連休前で短期売り方の買戻しもあって、下落幅は縮小した。アップルは4分割となったためにダウ平均への寄与度が大きく落ちるので、今後のダウ平均のリード役不足懸念が台頭するかもしれない。またテスラは一日で売買代金が6兆円ということで、日本での売買代金のほとんどを占める日経東証一部の売買代金の3倍程度を一つの銘柄で達成したくらいの人気となっていた。テスラ自体の売買代金でも通常の10倍近く出来ていたようだから驚きだ。流石に異常なほどの売買であったようだ

日経の売買代金も、全体で少なくとも6兆円程度は達成してほしいものである。確かに日銀の株買いは目立っており、上昇するにあたっては良いサポートとなってはいるが、売買代金の盛り上がりに欠ける環境下では相場の歪みも考えられ、市場関係者にとっても複雑な気持ちであろう。「市場は市場が決める」という優勢な文言がある通り、全投資家の自由意思によって相場が決まってくるのが理想であるからだ。大きい割合で政府等が介入するとなると、その相場は精度の高い指標ではなくなってくる。早く民間だけで売買が盛んになり、精度の高い相場へ戻ってくることを望んでいる。 安倍首相の辞任後、自民党では総裁選挙が行われるが、構造改革や規制緩和を推進する政府作りを期待したいものだ。

今週は、米国のナスダック指数の動きに注目したい。当社のNAS100指数では、先週の水曜日の2日に12467ドルを付けてから下落している。下値は4日金曜日につけた11114ドルであり、高値から2日で1300ドルと約10%強も下落し、変動率が高まっており、今年3月辺りから新型コロナウィルスの影響が高まったタイミングで、ナスダックに属しているハイテク企業に買いが集まってきた。その上昇率は、年初来で30%以上となっており、過熱感が台頭している。一時的なポジション整理やバリュエーション訂正の可能性が大きいと思うが、テクニカルから前述の安値を下抜けると、売り仕掛けから10200ドル程度まで調整の可能性が出てくるので要注意だろう。これまで世界の株式相場をリードしていた同指数の動きが他国の株式相場へも影響を与える可能性が大きいから、動きを常に把握しておく必要があるだろう。

ナスダック指数



今週の注目は、前述の米国ナスダック指数の動きとECB政策金利発表後のラガルド総裁の発言が中心となりそうだ。オーストラリアでは、企業景況感指数と消費者信頼感指数の発表があり豪ドルに影響があるのかどうか。また欧州で4-6月期のGDP発表がある。米国では経済指標が少ない中、先週の雇用統計を受けて新規失業保険申請件数の動きも要チェックである。
TOP